伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、ウイングアーク1st、グリッドの3社は2020年3月3日、グリッドのAI開発基盤「ReNom」上で開発したAIモデルについて、精度や稼働状況をモニタリングする維持管理ツールの提供を開始した。AIモデルの継続的な活用を支援する。製造業を中心に、ReNomやインフラ環境を含め、1年間で10社への販売を目指す。
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、ウイングアーク1st、グリッドの3社は、AIモデルを継続的に活用できるようにするため、AIモデルの実行結果や解析精度をモニタリングするツールを提供する。ReNom上で開発したAIについて、実行結果や解析精度をモニタリングし、スコアリングや再学習の推奨を通して、AIの結果の可視化や維持管理を効率化する(図1)。
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精度が低下する要因となったデータを選び出すことや、再学習に必要なコンピュータリソースをインフラと連携して用意することなどができる。これらにより、精度を保ちながらAIを継続的に活用できるようになる。
ReNomは、マシンラーニング(機械学習)/ディープラーニング(深層学習)向けの開発フレームワークである。維持管理ツールでは、ReNomに加え、AIを可視化するダッシュボードとしてウイングアーク1stの「MotionBoard」を活用する。
CTCは、インフラ環境として、AI用途向けのクラウドサービス「CTC Integrated AI Platform Stack(CINAPS)」を提供する。さらに、設定作業や、ユーザーの既存システムとの連携といったSI(システム構築)を担う。
今回の提供にあたり、製造現場で完成品の品質チェックを行う画像解析AIについて、可視化テンプレートやモニタリングの仕組みを開発した。これにより、複数の生産ラインでAIを多用するケースでも、早期に環境を構築できる。
開発の背景について、企業のAI活用が実用の段階に入り、製造業や流通業などで様々な用途での利用が進んでいる状況を挙げる。「一方、業務データや環境などの導入後の変化によって、AIの解析精度が低下するケースもある」という。CTCは、AIを効果的に活用していくためには、性能監視や再学習といったAIの維持管理が必要だとしている。