サントリーは、グローバルで300社以上に上るグループ企業のシステムが稼働するITインフラ基盤として、Amazon Web Services(AWS)を採用した。新規システムをAWS上に構築するほか、現在オンプレミスのデータセンターで稼働しているシステムをすべてAWSに移行する。2019年4月に移行計画がスタートし、先陣を切る日本では現在までに1000以上のサーバーを含む全システムをAWSに移行させた。シンガポールと日本にあったデータセンターをシャットダウンすることで、ITインフラの運営コストを25%削減した。アマゾン ウェブ サービス ジャパンが2020年10月27日に開催した説明会にサントリーシステムテクノロジーが登壇し、サントリーのAWS移行の詳細を説明した。
サントリーは、グループ企業のシステムが稼働するグローバルのITインフラ基盤として、パブリッククラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)を採用した。新規システムをAWS上に構築するだけでなく、現在オンプレミスのデータセンターで稼働しているシステムを、すべてAWSに移行する。
日本、アジア、オセアニア、アメリカ、ヨーロッパの5つのリージョンごとに、移行スケジュールを作成済み(図1)。先陣を切る日本は2019年7月に移行を開始。1000台のサーバーを含む全環境を移行し、2020年7月に実質1年間で移行を完了させた。2020年8月にはオンプレミスのデータセンターを解約した。
説明会では、日本でのシステム移行に携わったサントリーシステムテクノロジーの取締役で基盤サービス部長を務める加藤芳彦氏(写真1)が登壇し、AWSへのシステム移行のポイントを解説した。
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移行リスクの高いシステムから移行し、移行の課題を抽出
システム移行中は、既存システムとAWS上のシステムを並行稼働させる必要があった。このため、移行計画フェーズでは、数回の合宿を経て、新システムの構成と、過渡期のシステムの構成を考えた。
すべてのシステムをAWSに移行することが決まっていたので、移行のリスクが高いシステムから順に移行する方針をとった(図2)。まずは大量のデータ処理が必要なシステムや、外部システムとの連携が網羅的に確認できるものから移行させた。この選択をしたことにより、移行の初期段階で、想定以上の課題が発生した。
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移行の初期段階で想定を超える課題が発生したため、2019年10月以降の移行ペースを緩めつつ、課題解決に専念するフェーズを設けた。2019年末には、時間をとって移行方法を見直した。
「定期的に見直して改善を加えることで、実質1年間で1000台を超えるサーバーを移行できた」と加藤氏は評価する。
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