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三井化学、シミュレータと強化学習で工場の運転操作を40%効率化

2020年11月16日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

三井化学は2020年11月16日、同社工場において、シミュレータ上に再現したミラー工場にAIを組み合わせた運転支援システムを構築し、運転員の手動操作と比較して40%効率的な運転ができることを実証したと発表した。運転安定化までの時間を短縮できるため、原料やエネルギーを削減できる。システムは、NEC、産業技術総合研究所(産総研)、オメガシミュレーションと共同で構築した。

 三井化学は、シミュレータ上に再現したミラー工場とAIを組み合わせた。これにより、同社工場において、運転員が手動で操作した場合と比べて40%効率的な運転ができることを実証した(図1)。工場の状態に合わせて短時間で運転方法を変更できるため、原料や使用スチーム量を削減できるとしている。

図1:化学プラント運転における本技術の効果(出典:NEC、オメガシミュレーション、産業技術総合研究所、三井化学)図1:化学プラント運転における本技術の効果(出典:NEC、オメガシミュレーション、産業技術総合研究所、三井化学)

 最適な操作を学習する強化学習技術を独自に拡張した。シミュレーションで試行錯誤すべき手順の対象を、マニュアルや運転規約などに記載してある情報から論理推論を用いて大幅に絞り込めるようにした。化学プラントのように操作のバリエーションが多い装置に対して強化学習技術を適用できるようにした。

 化学プラントのような重要施設では、操作の可否を運転員が最終判断する。従来の強化学習は操作量しか出力しないため、操作を実施してよいかどうかを運転員が判断することは困難だった。今回開発した技術は、マニュアルにひも付いた操作の根拠と、想定できるシミュレーション結果を、運転員に提示する。これにより、運転員が操作の可否を判断できる。

●Next:三井化学の化学プラントの要件にマッチした「論理思考AI」

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