NTTデータ関西は2021年6月15日、神戸元町商店街(兵庫県神戸市)において、骨格推定AI技術を用いた通行量測定の実証実験を行ったと発表した。同年1月にプロネットと共同で実施した。実験の結果、骨格推定AI技術の活用で測定員の配備が不要になることが判明した。今後は、通行量測定だけでなく、滞留量などの別の測定を計画している。
NTTデータ関西は、神戸元町商店街において、骨格推定AI技術を用いた通行量調査の実証実験を行った。既設のカメラ映像から骨格推定AIで人を検知し、通行時間および通行方向ごとに通行量を集計した。この結果、骨格推定AI技術の活用で、測定員の配備が不要になることが分かった(図1)。
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実証実験で構築した通行量測定システムは、インターネットを介さずに現地で通行量データを取得し、かつ取得した映像を保存することなく現地で分類・集計する。外部システムにカメラ映像や分析データを連携させずに済むため、個人情報の保護などセキュリティ面での課題が生じない。
神戸元町商店街は従来、測定員が手動で通行量を測定していた。しかし、元町商店街は全長1.2kmで約300の店舗が存在する大きな商店街であるため、あらかじめ人員の確保が必要なうえ、さまざまなエリアを柔軟に測定することができていなかった。また、一般的なAIサービスは、クラウドなどインターネットを介して映像を提供する仕組みが多く、個人情報保護の観点から懸念があったという。
実験で得られた効果を紹介している。測定員による人数測定がカメラ測定に置き換わることで、測定員の稼働が、人数測定および測定結果分析の合計約10時間から、測定結果分析のみの2時間に短縮できることを確認した。今後は、特定エリアの人の滞留量なども計測して把握することで、エリアや空間の有効活用、コロナウイルス感染症対策における密の回避など、各種の活用方法を期待している。
今回採用した骨格推定AI技術は、NTTデータ関西が開発を進めている技術。AIが人物の骨格を認識することで、人流の計測や人数集計、行動の検知を行う。同社は、通行量の調査のほか、居室内の人数集計による密対策や通行量の調査、来店人数の集計、空席情報のデータ化、行動の検知など、各種のシーンでの実用化に取り組んでいる。