[市場動向]
川崎市、リアルタイム浸水予測AIを活用した津波避難の実証実験、スマホに到達時間や浸水高を通知
2022年3月3日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)
神奈川県川崎市は、AIによるリアルタイムな浸水予測を活用して津波から避難する実証実験を、2022年3月12日の川崎区総合防災訓練において実施する。実験では、専用のスマートフォンアプリを通じて、参加者に津波の到達時間や浸水の高さを通知する。さらに、アプリのメッセージ送信機能を使って、逃げ遅れている人に避難を呼びかける機能の有効性を検証する。浸水予測AIは、スーパーコンピュータ「富岳」による津波シミュレーションを基に構築した。実験は、東北大学災害科学国際研究所、東京大学地震研究所、富士通、川崎市の4者が共同で実施する。
川崎市は、AIによるリアルタイムな浸水予測を活用して津波から避難する実証実験を、2022年3月12日の川崎区総合防災訓練において実施する。津波の浸水予測AIは、スーパーコンピュータ「富岳」による津波シミュレーションを基に構築した。
実験は、東北大学災害科学国際研究所、東京大学地震研究所、富士通、川崎市の4者が共同で実施する。実験では、専用のスマホアプリを通じて、避難訓練の参加者に津波の到達時間や浸水の高さを通知する(画面1)。さらに、スマホアプリのメッセージ送信機能を使って、参加者同士で逃げ遅れている人に避難を呼びかける機能の有効性を検証する。
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デジタルリテラシーに応じて、避難訓練の参加者を2つに分ける。AIによる予測情報の不確実性を含めて実証実験の事前説明を受けた参加者(災害情報リーダー)には、AIが予測する津波到達時間や浸水の高さなどの詳細な情報を表示する。一方、その他の参加者には、自身がいる場所に浸水予測が出ていることを示すシンプルなテキストメッセージを表示する。
スマホアプリはまた、地図上でコミュニティメンバーの位置を確認し、コミュニティ内への呼びかけが行えるメッセージ送信機能を備えている。さらに、避難経路上の通行困難地点の情報を投稿して共有する機能や、避難所に集まった人数をリアルタイムにシェアする機能もある。
実証実験の背景として、スーパーコンピュータの高速化やAI技術の発展により、観測値に基づくリアルタイムな津波の浸水予測が可能になりつつある一方で、これらの情報を市民に広く伝達する仕組みが整備されていないことを挙げている。また、情報の捉え方やリテラシにおける個人差が社会実装に向けての課題になっているという。