東芝は、日本・アジアのグループ95社、5万人以上の従業員が利用する標準財務会計システムとBI分析システム、その他周辺システムを、Oracle Cloud上の「Oracle Exadata Database Service」に移行した。Oracle Cloudの大阪リージョンに本番環境を、東京リージョンに災害復旧(DR)環境と開発・検証環境を構築し、2021年10月から稼働開始した。東芝グループ内の基幹システムをパブリッククラウドに移行するのは今回が初めて。日本オラクルが2023年5月23日に発表した。
東芝は、日本・アジアのグループ95社、5万人以上の従業員が利用する標準財務会計システムとBI分析システム、その他周辺システムを、Oracle Cloud上の「Oracle Exadata Database Service」に移行した。Oracle Cloudの大阪リージョンに本番環境を、東京リージョンに災害復旧(DR)環境と開発・検証環境を構築し、2021年10月から稼働開始した。
システム移行の結果、利用状況に応じて無停止で柔軟にリソースを調整できるようになり、運用コストも10%削減した。本番稼働後のパフォーマンス分析では、1日のうちの数時間だけ負荷が高まることが分かったため、負荷が高まるタイミングだけリソースを追加するといった対応をとっている。性能向上により、3時間ごとに行っているBI分析処理の完了率も向上した。東京リージョンと大阪リージョンのデータベースを自動で同期することで高可用性も実現した。
東芝は従来、財務会計システムとBI分析システムを、オンプレミスのサーバーで運用していた。データベース基盤は「Oracle Database」を使い、BI分析基盤は「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition」を「Oracle Exadata」上に構築して運用していた。こうした中、サーバーハードウェアの老朽化や保守期限切れに伴い、システム基盤の刷新が求められていた。また、データセンターの閉鎖が決定し、システムを新環境に移行する必要もあったという。
財務会計システムはアプリケーションサーバー7台、データベースサーバー4台で、約70TBのデータを扱っていた。分析システムは、アプリケーションサーバー10台、データベースサーバー8台、60TBのデータを扱っていた。これらについて、本番環境、DR環境、開発・検証環境を含め、新たなシステム環境を構築する必要があった。
こうした経緯から東芝は、Oracle Exadataをクラウド上で利用可能な「Oracle Exadata Database Service」への移行を検討し、検証した。日本オラクルのコンサルティングサービス部門の支援の下、約2カ月にわたって移行のアセスメントを実施し、2020年8月にOracle Cloudへの移行を決定した。移行作業は東芝インフォメーションシステムズが実施した。
旧システムは、大阪のデータセンターで本番環境、東京のデータセンターでDR環境を運用していた。移行先のOracle Cloudにおいても、大阪リージョンを本番環境、東京リージョンをDR環境および開発・検証環境として活用し、計50環境を構築・移行した。クラウド上での環境構築や移行のリハーサルなどの準備作業を経て、2021年5月から移行を開始し、同年9月に移行を完了し、同年10月から稼働を開始した。
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