横河電機は、サポート業務や在庫管理にAIを活用するプロジェクトに取り組んでいる。マシンラーニング(機械学習)による予測モデルや自然言語処理によって、計器や制御システムのサポート対応に要する時間を削減しているほか、必要な製品在庫量や部品数を予測している。AI製品の導入を支援したマクニカが2022年5月26日に発表した。
横河電機は、工業計器・プロセス制御システムのグローバル大手メーカーである。現在、同社は、サポート業務や在庫管理にAIを活用するプロジェクトに取り組んでいる。マシンラーニング(機械学習)による予測モデルや自然言語処理を用いて、計器や制御システムのサポート対応に要する労力・時間の削減や、必要な製品在庫量/部品数の予測に活用している。
同社は以前から基幹システムのデータを分析して売上を予測してきたが、確実性の高い予測データではなく、データの活用にも手間がかかっていたという。こうした経緯から、「これから何が起こるか」を高い精度で予測するため、AIを予測に活用するプロジェクトを開始した。
AI製品として、マシンラーニングのモデル作成を自動化するソフトウェア「Driverless AI」(米H2O.ai製)と、自然言語処理ソフトウェア「Luminoso Daylight」(米Luminoso Technologies製)を導入した(関連記事:マクニカ、機械学習を自動化するソフト「Driverless AI」を提供、判定理由も可視化)。
AIの効果の1つとして、計器や制御システムのサポート対応に要する時間を短縮した(図1)。自然言語分析のLuminoso Daylightを活用し、顧客からの多言語の問い合わせに対して即座に回答できる環境を整備した。さらに、Driverless AIを活用し、問題化しそうな案件や、対応にどれくらいの時間がかかりそうかを予測した。最も精度が高い地域では80%以上の精度で予測できている。
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AIの別の効果として、製品在庫や部品数を予測可能にした(図2)。国によっては、商慣習によって在庫を常に持っていなければならない拠点がある。これに対して、Driverless AIを活用し、「在庫をいくつ持てば、どれくらいの期間で、どの程度売れるか」を予測した。売れる可能性の低い不動在庫や、売れる製品に関連して必要になる部品数も予測する。また、ある製品に関するプロジェクトでは、従来10日かかっていた概算見積り業務が2~3日で終わるようになった。
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