[市場動向]

画像AIで大型風力発電タワーの外観検査に成功、東芝/TDSLがスペインで実証実験

2022年7月15日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

東芝デジタルソリューションズ(TDSL)は2022年7月15日、同社と東芝の画像AI技術を用いた外観検査の実証実験において、大型構造物(風力発電用タワー)の外観・形状検査に成功したと発表した。実証実験は、風力発電用タワーを製造するスペインGRI Renewable Industries(GRI)と共に、GRIのセビリア工場で2021年3月から実施している。

 東芝デジタルソリューションズ(TDSL)は、画像AIを用いた外観検査に関する実証実験において、大型構造物(風力発電用タワー、写真1)の外観・形状検査に成功した。実証実験は、風力発電用タワーを製造するスペインGRI Renewable Industries(GRI)と共同で、スペイン南部にあるGRIのセビリア工場で2021年3月から実施している。

写真1:風力発電用タワーのイメージ写真(出典:東芝デジタルソリューションズ)

 風力発電用タワーは大型の構造物で、直径3~15メートルに達する。TDSLによると、メンテナンスの要件として、タワーの外側表面と内側表面の外観検査、および溶接部の形状検査が必要だが、大型であるため検査員による目視検査には時間がかかり、検査品質にもばらつきがあり、また、大型なタワーを検査可能な一般的な検査装置も存在しないという。

 こうした中、GRIのセビリア工場において、TDSLおよび東芝の生産技術センターが持つ画像AI技術と大型検査装置を組み合わせ、風力発電用タワーの外観と形状を検査する実証実験を行った。東芝の画像AIと、GRIと共同設計した検査装置(写真2)を組み合わせ、外観検査と溶接部の3D形状検査を自動化した。

写真2:風力発電用タワーの外観・溶接形状を自動で検査する装置の外観(出典:東芝デジタルソリューションズ)
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 画像の判定には、東芝独自の良品学習方式を用いる「Meister Apps AI画像自動検査パッケージ」を採用した。実証実験では、精度評価用に準備した傷や凹みなどの不良を100%検出したとしている。

 溶接部の形状検査では、溶接の角度や幅を計測し、アンダーカット(溶接部が金属で満たされておらず溝になっている部分)やスパッター(溶接部のまわりに飛び散って固まった金属の粒)などの溶接不良を検出する。実証実験では、精度評価用に準備した重要な溶接不良を、漏れなく検出したという。

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