NECは2022年8月31日、類似行動検出サービス「NEC Multimedia OLAP for 映像分析サービス」を提供開始した。人物行動のサンプル映像を数個登録すると、ライブカメラやアーカイブの映像の中から類似行動を検出することができる。被写体の向きや大きさが異なっても類似行動を検出可能としている。価格（税別）は月額30万円から。販売目標として2025年度中までに100社以上を掲げる。
NECの「NEC Multimedia OLAP for 映像分析サービス」は、人物行動のサンプル映像を数個登録することで、ライブカメラやアーカイブの映像の中から類似行動を検出するサービスである。PaaSとして提供し、REST APIを介して利用する（図1）。
図1：「NEC Multimedia OLAP for 映像分析サービス」の全体像（出典：NEC）拡大画像表示
一般的な行動検出技術では、特定の行動を映像から検出するために、検出したい行動が映った映像を大量に集めてAIに学習させるなどの準備を要し、探したい行動をすぐに登録して検出することは技術的に困難だった。
一方、同サービスでは検出したい行動を撮影したサンプル映像を用意し、オンデマンドに検出対象を追加することができる。大量の学習データを用意して学習させる必要がないことから、迅速な導入を可能としている（図2）。
図2：行動検出の仕組み（出典：NEC）拡大画像表示
被写体の向きや大きさが異なっても類似の行動を検出する。AIで推定した骨格情報について、大きさや向きに依存しない独自の類似照合手法による検索技術を開発した。人物とカメラの位置関係を調整することが難しい場合でも、高い精度で目的の行動を検出できるとしている（図3）。
図3：大きさや向きに依存しない独自の照合手法を実装した（出典：NEC）拡大画像表示
ライブ映像からリアルタイムに行動を検出可能である。画像そのもの（面）ではなく、画像から推定した骨格の形状（十数個の関節点）を基に行動を照合する仕組みにより、一般的な従来技術よりも計算量を抑えた。これにより、ライブカメラの映像から目的の行動をリアルタイムに検出できる。大量の映像アーカイブデータからの高速検索も可能である。
NECは活用イメージの例として以下を挙げている。
- 商業施設などでの来場者見守り（施設職員が、支援や声掛けが必要な来場者を探すための補助への活用）
- ATMの前など不自然な場所で「電話をしている人」を見つける
- 「倒れている人」を見つける
- 「車椅子に乗る人」が来場したことを検知する
- 作業者や運転者の行動分析や安全確保（特定の作業行動の検出結果を時系列データとして集計し、作業行動改善の分析に活用。作業中や運転中に危険につながる行動を検知し警告する）
- 製造現場での作業行動分析
- 危険行動や危険運転行動を検知し警告する
- ウェルネスやスポーツ、エンタテーメントへの活用
- 特定のフォームやポーズを検出して観察しトレーニングに活用
- スポーツ、エンタテーメントでのライブ演出への活用
