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東北大学病院、医師の活動内容とストレス度をAIで可視化する実証実験、分析から改善策を提示

カメラ映像、システムログ、ウェアラブル端末からデータを収集・分析

2022年9月21日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

東北大学病院(宮城県仙台市)は2022年9月21日、医師の働き方改革にAIを活用する実証実験を同年10月1日に開始すると発表した。カメラ映像やウェアラブルデバイスのデータをAIで解析し、医師業務の課題を抽出して改善策を提示する。医師の業務種別ごとに、業務の量や質だけでなく、肉体的負荷や心理的負荷も可視化して分析する。実証の成果を踏まえ、AIモデルの実用化を目指す。

 東北大学病院は、医師の働き方改革にAIを活用する実証実験を2022年10月1日より行う。耳鼻咽喉科・頭頸部外科の医師を対象に、業務種別ごとに業務の量と質、および医師の肉体的負荷や心理的負荷を可視化する。そのうえで、業務課題の抽出に向けたデータ分析の有効性を検証する(図1)。

図1:東北大学病院とNECによる、「医師の働き方改革」にAIモデルを活用する実証実験の概要(出典:東北大学病院、NEC)

 実証実験の手法として、医師の動線上に設置したカメラ映像や、医師が装着するウェアラブル装置から取得する情報を分析し、医師の活動内容やストレス度を可視化する。入退室情報や端末操作のログ情報を合わせて分析し、医師の業務改善につながる課題を自動的に抽出する。さらに、これらの課題に対する業務改善策を導き出し、改善効果を検証する。これら一連の作業にAIを活用する。

 第1に、活動内容とストレス度を可視化する。医師の活動内容(診察、PC操作、患者説明、移動)は、医師の動線上に設置したカメラ映像や、ウェアラブル装置から取得する加速度情報から把握する。さらに、端末操作のログ情報を利用し、どの業務にどのくらいの時間をかけているかを把握する。ストレス度(肉体的負荷、心理的負荷)は、ウェアラブル装置から取得する加速度や脈波・発汗などの生理情報を分析して把握する。

 第2に、業務の課題を抽出し、改善策を提示する。活動内容やストレス度の情報から、NECが開発した要因解析AIモデルを使って、医師の業務内容を分析する。こうして、業務の効率化と持続化を両立する要因を推定する。分析結果から課題に対する改善方法を提示し、業務改善効果の検証までを実施する。

 実証実験の背景について東北大学病院は、勤務医の時間外労働年間上限が原則960時間など、2024年4月から医師の働き方改革の適用が始まることを挙げる。「医療現場では、これまで以上に医師の業務を効率化する取り組みが重要になる。医師の労働環境の改善や健康維持、非医療業務の効率化などの働き方改革に向けた取り組みが求められている」(東北大学病院)。

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