矢野経済研究所は2022年10月5日、国内の電子契約サービス市場を調査し、市場概況やサービス参入企業の動向、普及動向、将来展望を発表した。2021年の同市場規模は、事業者売上高ベースで前年比38.6%増の140億円と推計している。電子契約の認知度向上、テレワーク対応のほか、契約手続きの可視化、コンプライアンスの強化などから市場は順調に成長しているという。
矢野経済研究所は、国内の電子契約サービス市場を調査した。2021年の同市場規模は、事業者売上高ベースで前年比38.6%増の140億円と推計している。電子契約の認知度向上、テレワーク対応のほか、契約手続きの可視化、コンプライアンスの強化などから市場は順調に成長しているという(図1)。
拡大画像表示
「電子契約サービス市場は、新型コロナウイルス感染症の流行によるテレワークの拡大を契機に急速に成長した。2022年の今も順調に成長を続けている。以前までは、コスト削減や業務の効率化を目的に導入するケースが多かったが、コロナ禍において発生した『ハンコを押すために必要な出社』の負担を低減するため、導入が急拡大した」(同社)。
「新型コロナウイルス感染症の発生から2年が経過したことで、電子契約サービスの検討/導入目的は、再び変わろうとしている。最近は、デジタル化の推進、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現が、導入目的として増加基調にある。電子契約サービスは効果を可視化しやすいため、取り組みやすいDXの1つだ」と同社は説明している。
2025年の国内電子契約サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年比25.4%増の395億円に達する見通しである。一方、現状では電子契約サービスを導入していない企業も多く、2026年以降、改めて市場が大きく成長する機会があると同社は見ている。
「直近2~3年は、企業が対応しなければならないことが多く、電子契約サービス導入の優先度は下がり、市場成長のスピードはやや鈍化する」と同社は予測している。例えば、2022年1月に施行が始まった改正電子帳簿保存法への対応、2023年10月から始まるインボイス制度への対応、2018年に経済産業省が「DXレポート」で指摘した“2025年の崖”への対応などである。