アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2022年12月7日、米AWSが2022年11月28日~12月2日に開催した年次プライベートイベント「AWS re:Invent 2022」の発表内容を紹介した。サーバー周りの性能向上やデータベース関連の機能強化が中心で、例えば、Amazon Auroraデータベースにトランザクションデータが書き込まれてから数秒以内にAmazon Redshiftで分析可能になる機能などを説明した。
米Amazon Web Services(AWS)は2022年11月28日から12月2日にかけて、年次プライベートイベント「AWS re:Invent 2022」を開催した。AWSジャパンは説明会を開き、同イベントでの主な発表内容を紹介した。中心となるのは、サーバー周りの性能向上やデータベース関連の機能強化などである。
サーバー周りの性能向上のための強化ポイントとして、サーバーに搭載するチップ/プロセッサの新版を発表している。チップセットなどを提供するAWS Nitro v5は、前世代と比較して計算能力が2倍になり、メモリーアクセスが50%高速になった。プロセッサのGraviton 3Eは、線形代数演算の計算ベンチマークであるHPLの性能が35%向上した(図1)。
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新しいGraviton3Eプロセッサを搭載したインスタンスとして、ネットワーク仮想アプライアンスなどネットワーク処理向けに設計した「AWS C7gn」や、HPC(High Performance Computing)および分散コンピューティング用途に設計した「AWS HPC7g」を発表している。
TCPやUDPを透過的に使いつつネットワーク遅延を低減
ネットワーク周りの性能向上では、Amazon EC2インスタンスに対応した低遅延のネットワークインタフェース「Elastic Network Adapter(ENA) Express」を提供する。ENA Expressは、独自のトランスポート層プロトコル「Scalable Reliable Datagram」(SRD)をベースとしており、TCPとの比較では遅延時間を85%短縮するという。アプリケーションはこれまでと同様、透過的にTCPやUDPが使える(図2)。
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このほか、高速チップを搭載したEC2インスタンスとして、ディープラーニング(深層学習)の学習を高速処理するためのAWS Trainiumチップを搭載した「Trn1n」を発表している。合わせて、ディープラーニング推論をアクセラレータによって高速に処理するインスタンスの新版「Inf2 Instances for EC2」を提供する。
性能向上面では、加えて、サーバーレスのAWS LambdaにおいてJavaプログラムを高速に起動する「AWS Lambda SnapStart」も提供する。Java実行環境のメモリーとディスクの状態をキャッシュすることで、その後に呼び出された際に高速に起動できるようになる(図3)。
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OLTPデータをニアリアルタイムでOLAP分析
データベース周りでも多くの強化ポイントがある。1つが、OLTPデータをニアリアルタイムでOLAP分析できるようにする「Amazon Aurora zero ETL integration with Amazon Redshift」である。トランザクションデータがRDBMSのAmazon Auroraに書き込まれてから数秒以内に、データウェアハウス(DWH)のRedshiftで利用可能になる。ユーザー側でETLの仕組みを構築する必要がない(図4)。
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Amazon Redshiftの可用性を高める「Amazon Redshift Multi-AZ」も登場した。複数のアベイラビリティゾーン(AZ)にDWHを配置し、障害時も運用を継続できるようにした。AZ障害が発生した場合も自動的に復旧する。アプリケーションに対しては、単一のエンドポイントを提供する(図5)。
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ほかには、PostgreSQLの拡張機能開発キット「Trusted Language Extensions for PostgreSQL」を提供する。JavaScript、Perl、PL/pgSQLなどの言語で開発可能である。Aurora/PostgreSQLおよびAmazon RDS for PostgreSQLのバージョン14.5以降で利用可能である。
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