IDC Japanは2023年8月22日、国内データセンター事業者による投資額の予測を発表した。データセンターにおける建物、電気設備、冷却システムなどの新設および増設にかかる投資額を調査した。東京や大阪の郊外でデータセンターの増設需要が拡大し、データセンターの新設および増設投資は2023年から2024年にかけて急上昇する見込みである。
IDC Japanは、国内データセンター事業者による投資額の予測を発表した。データセンターにおける建物、電気設備、冷却システムなどの新設および増設にかかる投資額を調査した(図1)。
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2023年の投資額は前年比16.4%増で、3222億円の投資規模を見込む。2024年は、2023年の約1.55倍という大幅な拡大で、5000億円を超えると予測している。IDCは、2024年から2027年にかけて毎年5000億円を超える投資規模が継続すると見ている。
投資額の増加要因としてIDCは、クラウドサービス向けハイパースケールデータセンターの増設需要が東京や大阪の郊外で拡大する傾向が継続していることを挙げる。東京郊外では、以前からデータセンターの建設が進む千葉県以外に、東京西部での建設が増えており、大阪郊外では、京都府でハイパースケールデータセンターの建設が進んでいるという。
合わせて同社は、こうした建設需要を見込んで不動産投資マネーが流入し、データセンターファシリティ(建物、設備)市場に新規参入する企業も増えていることを指摘する。
「建設業界全般にわたる人手不足や、世界的なインフレや原材料の価格によってデータセンターの建設コストが上昇している。このことも建設投資額を増大させる要因である。建設コストの上昇によってデータセンターの投資意欲が縮小するとは考えられない」(IDC)
今回の発表の詳細を、IDCのレポート「国内データセンター数/延床面積/電力キャパシティ予測、2023年~2027年、および国内データセンターファシリティ市場予測、2023年~ 2027年」で報告している。同レポートでは、事業者データセンターに加えて、企業内データセンター(金融機関、官公庁、製造業、サービス業などの一般企業のサーバールームなど)についても調査結果をまとめている。