[調査・レポート]

生成AIの業務適用を国内企業の50%が検討、32%が2023年中に投資─IDC

2023年10月27日(金)IT Leaders編集部

IDC Japanは2023年10月26日、国内企業における生成AIの取り組みに関する調査結果を発表した。国内企業の生成AIへの期待度は世界平均より高く、同年3月から7月にかけて生成AIの検討・投資が伸びており、IDCは日本が優勢となる状況は珍しい状況だと指摘している。また、社内向けのユースケース(コード生成、対話型、デザイン支援など)の期待が高く、マーケティング分野は低かった。

 IDC Japanは、企業における生成AIの取り組みに関する調査を日本、その他アジア、北米、欧州において2023年3月から実施している。調査の回答者は、マネージャ以上で、かつ従業員500人以上の企業に勤務するIT投資購入意思決定者である。

 国内企業における生成AIに対する対応状況について、同年7月の調査では、「可能性のある適用分野について検討を始めたところ」と回答した企業が50%に達した。また、「2023年に生成AI技術に投資する/している」企業は32%だった(図1)。

図1:生成AIに対する現在の対応状況(出典:IDC Japan)
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 国内の生成AIへの期待度は世界平均よりも高く、2023年3月から7月にかけて、生成AIの適用分野に関する可能性の検討と投資傾向の両方の割合が伸びている。国内と世界の比較において、日本が優勢する状況は比較的珍しい状況だとIDCは指摘する。「国内企業は、ChatGPTをきっかけにAIの活用を再検討し、デジタルビジネスの計画と実行を加速している」(同社)。

 企業が想定する生成AIのユースケースを聞く設問では、生産性向上に貢献する社内向けのユースケース(コード生成、対話型、デザイン支援など)への期待が高く、マーケティン分野は低かった。IDCによると、この傾向は国内と世界で同じだが、世界ではユースケース全般に期待をかけているという。

 生成AIが影響を与える事業領域については、ソフトウェア開発/デザイン部門が高かった。ここも国内と世界で同じ傾向だが、世界ではサプライチェーンや顧客サービス部門への影響を想定する割合が国内と比べて高いという。「これらの違いから世界では、社内外のユースケースや事業領域に対して幅広く生成AIの利用を検討していることがわかる」(同社)としている。

 「ユースケースの傾向については、2015年以降の第3次AIブームにおいて、国内企業がマシンラーニング(機械学習)に着手したときの傾向と類似する。一方、生成AIの特性である自動生成や要約などの新たな機能が利用できるようになったことや、ハルシネーションなどの新たなリスクが加わっていることには考慮する必要がある」(同社)

 「企業における検証・実証の結果やAIのリスク管理、ガバナンスの運用次第だが、世界が幅広い目的で生成AIの利用を検討している傾向を考えると、国内企業は生成AIの潜在的な可能性と活用用途をさらに探る必要がある」(同社)

 今回の発表は、同社のレポート「2023年 国内Generative AI市場動向:論点と今後の展望」に基づく。同レポートは、2023年7月~10月初旬のベンダー取材と国内企業へのインターネット調査から、生成AI製品・サービスにおけるベンダーの動向、IDCのグローバル調査結果における国内と世界の比較、国内企業への独自調査結果の分析・考察で構成している。

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