[市場動向]

AWSジャパン、ガバメントクラウドに移行する自治体をスキル育成や情報提供で支援

2024年10月22日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)は2024年10月22日、説明会を開き、ガバメントクラウドの推進に向けた取り組みの現状を説明した。スキル育成と移行支援の2つを柱に、コンテンツやSIサービスなどを提供している。今後、自治体によるガバメントクラウドの運用が本格化するにつれ、ITリソースの利用状況を監視してクラウドの利用コストを削減する工夫などが広がるという。移行スタイルも、まずはリフト(載せ替え)が主だが、次にシフト(作り替え)も増えていくという。

 AWSジャパンは、ガバメントクラウドの推進に向けた取り組みを説明した。ユーザーである自治体のスキル育成と移行支援の2つを柱に、コンテンツやSIサービスなどを提供している。スキル育成については、IT担当者向けの説明会を35都道府県で開催済み。月次のオンライントレーニングも実施している(図1)。情報を集約したWebサイトも用意している。

図1:自治体向けに提供しているオンライントレーニングの概要(出典:アマゾンウェブサービスジャパン)
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 移行支援では、アプリケーションやネットワーク回線、運用面などにおいて「何を検討しなければならないのか」のタスクリストを作成し提供している(図2)。また、移行サービスを手がけるSIベンダーなどの事業者を、パートナープログラムで支援している。AWSの既存のサービスメニュー(各種コンサルティングやワークショップなど)もガバメントクラウドに向けて提供している。

図2:ガバメントクラウドを利用するために必要なタスクをリスト化した文書のイメージ(出典:アマゾンウェブサービスジャパン)
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 同社は近い将来像として、自治体によるガバメントクラウドの運用が本格化するにつれ、ITリソースの利用状況を監視してクラウドの利用コストを削減する工夫などが広がると見ている。「移行スタイルも、まずはリフト(載せ替え)が主だが、次第にシフト(作り替え)も増えていく。クラウド側があらかじめ用意しているアプリケーションや機能を使うことも増える」(同社)。

名古屋市はクラウドを単独利用、災害対策でRTOとRPOを短縮

 説明会では、実際にシステムをAWS上のガバメントクラウドに移行している自治体として名古屋市が登壇し、取り組みの現状を説明した(写真1)。2022年度に要件定義、2023年度に利用環境の整備、2024年度から基幹業務システムの移行を始めた。2025年度までに、移行対象20業務のうち18業務を移行する。

 名古屋市は、ガバメントクラウド環境を他の自治体との共同ではなく、単独で利用する。クラウドを使うためのスキルは必要になるが、自前で運用することで、ガバナンスを確保し、全体最適化を実現できると考えた。クラウドのメリットも直接享受できる。

 ガバメントクラウドの単独利用によって、これまで業務システムごとにバラバラに管理していたファイル共有サーバーや認証基盤、セキュリティ対策などのシステム要素を共通化する(図3)。

図3:名古屋市が取り組む、クラウドによる社内システム適正化のイメージ(出典:名古屋市)
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 可用性も、クラウドへの移行によって向上させる(図4)。これまでは市内の全区役所に縮退運転用のセカンダリサーバーを設置していたほか、バックアップデータを月次で遠隔地に輸送していた。RTO(目標復旧時間)は1週間以上、RPO(目標復旧地点)は1カ月以上だった。

図4:名古屋市が取り組む、クラウドによる可用性の向上イメージ(出典:名古屋市)
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 移行後は、クラウドが備える機能を使って可用性を確保する。回線は複数経路を使い、かつ冗長化する。障害や災害の発生時はバックアップリージョンを活用する。データベースは必要に応じてリアルタイムに同期させる。これらにより、最短でRTOは数時間、RPOは数分間になるとしている。

写真1:左から、アマゾン ウェブ サービスジャパン 常務執行役員パブリックセクター統括本部長の宇佐見潮氏、武蔵学園データサイエンス研究所副所長・武蔵大学社会学部メディア社会学科教授の庄司昌彦氏、名古屋市 総務局行政DX推進部デジタル改革推進課課長補佐(システム標準化担当)の高橋広和氏、日立システムズ 公共・社会事業グループ業務役員統括事業主管の穴山泉氏、アマゾン ウェブ サービスジャパン パブリックセクター官公庁事業本部本部長の大富部貴彦氏
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