[調査・レポート]
出社/テレワーク併用のハイブリッド勤務が主流に、生成AIは45%が利用─JIPDEC/ITR「企業IT利活用動向調査2025」
2025年3月17日(月)IT Leaders編集部
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とアイ・ティ・アール(ITR)は2025年3月14日、年次ユーザー調査「企業IT利活用動向調査2025」の結果を発表した。主な調査結果として、出社とテレワークを併用するハイブリッドワークが主流で、うち半数は最低出社日数が決められている。ランサムウェアの感染経験は48%に及ぶ。生成AIは45%の企業が利用している。
日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とアイ・ティ・アール(ITR)は、年次ユーザー調査「企業IT利活用動向調査2025」を、2025年1月17日~24日の期間で実施した。調査対象は従業員数50人以上の国内企業に勤務し、IT戦略策定または情報セキュリティ施策に関わる係長職相当職以上の役職者約1万7000人。1社1人で1110人の有効回答を得た(関連記事:半数近くの企業がランサムウェア感染経験、身代金を支払っても3分の2は復旧できず─JIPDEC/ITR)。
JIPDECとITRは、調査結果のポイントとして以下の6つを挙げている。
- 45%の企業が生成AIを利用。メールや資料作成など日常業務の利用では80%超が効果を認識している。
- 生成AI利用のリスクとして、機密情報の漏洩、ハルシネーション、倫理的問題を懸念している。
- 「内向きのDX」では業務のデジタル化で順調に成果が出ているが、企業文化の変革には課題が残り、「外向きのDX」では新しいビジネスの創出に向けた取り組みに遅れが見られる。
- テレワークと出社併用のハイブリッドワークが主流であるが、最低出社日数を義務づける企業やテレワーク制度がほとんど活用されていない企業もある。
- ランサムウェア感染経験は48%、メールによる攻撃とリモートアクセスの脆弱性が主な侵入経路。
- プライバシーガバナンスの取り組みが、従業員と顧客の双方のエンゲージメント向上に寄与している。
80%超が生成AIの日常業務での効果を認識
自社における生成AIの利用状況について尋ねたところ、「全社的に利用が推奨され、幅広い業務で利用されている」が15.9%、「必要性の高い特定部門での利用に限定されている」が29.1%となり、合わせて45.0%の企業がすでに生成AIを利用している。また、「一部のプロジェクトやチームで試験的に利用され、効果を検証している」は26.3%だった。
図1は、生成AIを全社的に利用している企業と、特定部門で利用している企業を対象に、業務における生成AIの活用効果について聞いた結果である。「日常業務の効率化」については45.2%が「非常に効果が出ている」、38.8%が「ある程度効果が出ている」と回答した。日常業務(メール文面や資料の作成、データ入力、調査など)では80%超の企業で生成AIの活用効果を認識していることが判明した。
次いで、「分析・レポート作成」も79.6%と、多くの企業で活用効果が出ている。このほか、「文章の要約・翻訳」「会議の効率化」「マーケティング」など、調査設問に挙げたいずれの業務でも、効果が出ているとした企業が60%を超えた。「生成AIを利用している企業の多くは、さまざまな業務で一定の活用効果をあげていることが読み取れる」(JIPDEC、ITR)。

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