[調査・レポート]
2026年に通信業界が直面するリスクのトップ10、地政学的リスクが初ランクイン─EY調査
2026年3月13日(金)IT Leaders編集部、日川 佳三
EY Japanは2026年3月10日、市場分析レポート「通信業界が直面するリスクトップ10(2026年版)」を発表した。同社が実施した複数の調査結果を基に、同社の視点で通信業界のリスクをまとめている。今回初めて「地政学的環境の変化に十分に対応できていない」が5位にランクインした。最も重要なリスクには、前年に引き続き「プライバシー、セキュリティ、信頼面における喫緊の課題の変化を軽視している」を挙げている。
英Ernst & Young(アーンスト・アンド・ヤング、EY)は、市場分析レポート「通信業界が直面するリスクトップ10」を毎年発行している。同社が実施した複数の調査結果を基に、同社の視点で通信業界のリスクをまとめたもの。以下は、2026年版で挙げた通信業界のリスクトップ10である。
- プライバシー、セキュリティ、信頼面における喫緊の課題の変化を軽視している
- 新しいテクノロジーによるトランスフォーメーションが効果的に実行されていない
- 人材、スキル、職場文化への対応が不十分
- ネットワークの価値提案とパフォーマンスが不十分
- 地政学的環境の変化に十分に対応できていない
- 新たなビジネスモデルを活用する能力が欠如している
- 外部エコシステムとの関わり方が効果的ではない
- 顧客ニーズの変化にうまく対応できていない
- サステナビリティへの取り組みの管理がずさんである
- 価値創造を最大化するための事業モデルが最適ではない
EYは、地政学的な環境の変化が外的な不確実性を増幅させているとし、今回初めて、「地政学的環境の変化に十分に対応できていない」がランクイン(5位)した。
EYは別のレポート「EY CEO Outlook Study(2025年5月版)」で、通信企業の経営幹部は2025年の成長への脅威として「地政学的緊張」(22%)を挙げており、「マクロ経済の不確実性の拡大」(18%)や「貿易・財政政策関連の動向」(13%)を上回る。「通信業界のCEOは世界の通商問題にも敏感で、17%が米日間の緊張が自社事業に最大の影響を及ぼすと回答している」(EY)。これに続くのが米中間の緊張(13%)である。
「通信業界が直接的に受ける関税の影響は比較的小さいものの、端末メーカーやネットワークベンダーといった上流のサプライヤーには大きな影響が及ぶ可能性がある」と同社。通信業界の回答者の大多数(82%)が、価格上昇分を顧客に転嫁できると自信を示しているが、端末価格の上昇は買い換えサイクルの長期化につながる可能性があるという。
こうした状況を背景に、企業内での地政学的戦略行動が増加傾向にあるしている。別のレポート「EY Geostrategy in Practice Study」によると、2025年には地政学的戦略行動の37%が組織の複数のレベルで実施されており、2021年の24%から増加している。
日本においても、経済安全保障政策の下、通信各社は地政学的リスクへの備えを強化している。「台湾情勢の緊迫化や米中対立の激化によるサプライチェーン遮断は、通信機器の調達・運用に大きな影響を及ぼしかねない懸念である。また、円安や金利上昇、エネルギー価格高騰といったマクロ経済の逆風も、コスト増加を通じて通信事業の収益性を圧迫するリスクとなっている」(EY)。
●Next:自らの役割と権限の拡張に苦慮する通信業界
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