[インタビュー]

中小企業こそ最先端AIで武装せよ! 1000万社を結ぶCoupaが示す、調達・購買のDX戦略

2026年6月9日(火)神 幸葉(IT Leaders編集部)

AIが単なる「管理の道具」を脱し、自ら実務を執行する「同僚」へと変わりつつある今、人間に求められるスキルは何か。米Coupa Software(クーパ)が2026年5月12~14日に米国で開催した年次カンファレンス「Coupa Inspire 2026」に合わせ、同社EMEA & APACリージョナルプレジデント(Regional President EMEA & APAC)のジョアン・パウロ・ダ・シルヴァ氏と日本法人 代表取締役社長の反町浩一郎氏に、日本市場における調達・購買管理の現状と戦略、中小企業こそが最先端のAIを武装すべき理由などを聞いた。

膨大なデータから示唆を導く「増幅器」としてのAI

――APAC担当リージョナルプレジデントとして、日本企業の購買・調達管理の現状をどう見ていますか。

ジョアン・パウロ・ダ・シルヴァ(João Paulo da Silva、通称:JP)氏写真1): 欧米にはCPO(Chief Procurement Officer:最高調達責任者)というポジションが以前から存在しています。この役職が日本やアジアの企業でも近年広がりつつあります。企業のコストをコントロールするための構造や基盤を構築する重要性が、より一層高まっているためでしょう。

 従来の調達部門の役割にテクノロジーが加わることで、彼らの社内での立ち位置は変化します。ビジネスユーザーと議論を交わし、調達・購買の視点から、ビジネス上の意思決定や、企業のカテゴリー戦略をサポートする立場になるのです。

写真1:米Coupa EMEA & APACリージョナルプレジデント(Regional President EMEA & APAC)のジョアン・パウロ・ダ・シルヴァ氏

――「Coupa Inspire 2026」の基調講演では、Coupaのプラットフォームに組み込まれたAIが、支出管理における意思決定の支援から、自ら実行して具体的な成果をもたらす段階へ移行するとの宣言がなされました。一方で、購買・調達に限らず、これまで人間が行っていた業務をAIに実行させることに不安を感じる企業もあるでしょう。Coupaのプラットフォームは、そうした不安をどのように払拭し、課題を解決していくのでしょうか(関連記事:10兆ドルの支出データを基に、Coupaが仕掛ける支出管理のAIトランスフォーメーション)。

JP氏: 私たちは今、変革の途上にあります。一部の人々がAIを恐れているのは事実です。しかし現実は、AIがより多くの雇用を生み出し、さらに多くの人間を必要とするようになります。

 AIは「増幅器」です。もし良いデータがあれば、AIはそのデータに基づいて価値を大きく増幅させることができます。逆にデータが悪ければ、増幅させても役に立ちません。当社のアドバンテージは、プラットフォームの提供を通じて蓄積された、10兆米ドル分の契約や取引に関するデータがあることです。

 そしてそれこそが、私たちがお客様を支援できる価値の差別化要因となります。 当社のもつデータは、お客様にさまざまな示唆や提案を出すことができるからです。

 例えば、ある商品を購入しようと決め、3社のサプライヤーに見積もり依頼をかけようと考えた時、AIは過去の履歴やデータを解析し、次のように提案します。

 「このカテゴリーでは、5社をソーシングイベントに招待すると、より良い交渉価格が得られる可能性が高まります」「選定した3社以外に、同カテゴリーでは多くの企業がこの10社から購入しており、特にA社とB社は多くの契約を獲得しています」「この2社をソーシングイベントに追加招待しますか?」

 このような提案は、膨大なデータがあって初めて可能になるものです。

 あるお客様の例ですが、彼らは年間33万件以上のRFP(提案依頼書)を発行していました。Coupaの導入によって、これらの作業にかける時間が大幅に削減され、より短い期間でサプライヤーに競争させることが可能になりました。これらの成果がさらに多くのデータを生み出し、そのデータがモデルにフィードバックされ、さらなる成功へとつながる好循環を生み出しています。

●Next:中堅企業における調達・購買を支援する体制を強化、日本企業への導入加速目指す

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