[インタビュー]

「テクノロジーが9割、プロセスが1割」の現状を逆転させる―ドイツ発Lucanetが挑む、日本の財務DX

Lucanet CEO エリアス・アペル氏/ルカネット 代表取締役社長 藪下誠氏

2026年7月24日(金)森 英信(アンジー 代表取締役)

グループ経営の国際化やプライベートエクイティ(PE)ファンドによる再編の加速──。日本の中堅企業の財務・経理部門は連結・計画・開示をまたぐ複雑な業務に追われている。またその多くはExcelと手作業に依存し、属人化と決算長期化に悩んでいる。そうした課題にフォーカスするCFOソリューションプラットフォームを展開する独Lucanet(ルカネット)が東京オフィスを開設し、日本市場に本格参入した。来日したグローバルCEOのエリアス・アペル(Elias Apel)氏と日本法人 代表取締役社長の藪下誠氏に、同社の強みや日本市場での戦略、AIへの取り組みを聞いた。

単一製品から財務部門を束ねる統合プラットフォームへ

 Lucanetは1999年にドイツで設立され、2005年ごろから欧州各国、米国、アジアへと展開した。同社 CEOのエリアス・アペル(Elias Apel)氏(写真1)は「設立から長らく、法定連結に特化した単一の製品を提供してきました」と切り出した。

写真1:Lucanet CEO エリアス・アペル(Elias Apel)氏

 2022年ごろからはオーガニック成長と買収を両輪に、CFOソリューションプラットフォームへ提供領域を広げ始めた(図1)。連結や財務計画を起点に、開示管理、ESGレポーティング、リース会計、税務、資金管理といった隣接領域を取り込み、財務部門の業務を一つの基盤に束ねる構想だ。

 現在、同社は世界50カ国で6500社を超える顧客を持ち、15拠点に900名の従業員を擁する。2026年6月時点で年間経常収益(ARR)は2億ユーロを超え、年成長率は30%を超える水準を維持している。それでもアペル氏は、これを完成形とは見ていない。「ソフトウェアは進化するものです。市場の変化に合わせ、お客様の声に耳を傾けながら、次に何を加えるべきかを決めていきます」(同氏)

図1:1999年に創業し、現在はグローバルに6500社の顧客を抱える(出典:Lucanet)
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バラバラの作業を一気通貫に―「まずプロセス、次に技術」の導入思想

 財務チームは伝統的に、手作業とExcel中心のワークフローに慣れていることが多い。複雑性がある水準を超えると企業は役割ごとにデジタル化を進めるが、結果として個別最適なツールやサービスが乱立する状態が生まれるとアペル氏は指摘する。

 CFOソリューションプラットフォームが変えるのは、この分断だ(図2)。異種のソースシステムからデータを取得して財務分析に供し、四半期・年次報告書などの開示形式にしたうえで、XBRL(eXtensible Business Reporting Language)に則って機械可読にすることで、孤立した作業を1つのワークフローに束ねる。「財務チームにとって、これは完全な透明性を意味します。そして、これらのワークフロー全体を単一の信頼できる情報源で所有できます」とアペル氏は説明した。

図2:連結・財務計画からXBRL、税務までを束ねる基盤を提供(出典:Lucanet)
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●Next:日本市場に着目した理由

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