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鳥羽水族館、紙の飼育ノートをiPadアプリに置き換え、記入待ちや印刷・ファイリングの負担を解消

2026年9月15日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

鳥羽水族館(所在地:三重県鳥羽市)は、ショーチームが管理する海獣7種、34個体の飼育記録を紙のノートからiPadのモバイルアプリケーションに置き換えた。紙のノートを共有することによる記入待ちの問題を解消したほか、印刷・ファイリングの手間をなくした。動物の状態を写した写真も一元管理できるようにした。導入を支援したパナソニック デジタルが2026年9月14日に発表した。

 鳥羽水族館は、サッカーコート3面分に相当する延床面積2万5281平方メートルの施設で約1200種の動物を飼育している。同館ではこれまで、動物の飼育記録を紙のノートでとっていたため、作業の効率性や記録の保存性・再利用性に問題があった。

 紙の飼育ノートは飼育対象の個体ごとに用意し、チーム全員で共用するため、前の人が記録を書き終えるまで次の人は記入できない。ショーチームでは、海獣だけで30個体以上を管理しているため、記入待ちが常に発生していた。

 また、紙の記入スペースには限りがあるため、記録すべきことが多くても1行で報告しなければならないことも多かった。さらに、紙のノートはファイリング形式のため、30個体以上の記録用紙を毎朝印刷・ファイリングする必要があった。

 症例報告のためにデータをまとめる際も、過去のファイルを1枚1枚手作業で遡る必要があり、手間がかかっていた。しかも、10年以上前の記録は、インクが消えていたり、紙が黄ばんで読めなくなっていたりと、実質的に使えない状態だった。

 画像データを一元管理できない点も不便だった。動物たちの傷口や生殖孔の状態変化は、写真で記録するのが正確かつ効率的だが、画像データはチャットツールなどで共有するしかなく、飼育ノートと一元管理できていなかった。

ノーコードツールPlatioで飼育記録アプリを開発

 今回、ノーコード開発ツール「Platio」(アステリアが提供)を使い、飼育記録アプリケーションを作成した(写真1)。2025年5月にPoCを開始し、試験運用中は紙のノートとアプリケーションを並行使用し、問題がないことを確認したうえで同年7月1日に本番運用に移行した。この時点で、ショーチームが管理する34個体の飼育記録をすべてデジタル化した。

写真1:鳥羽水族館が導入した飼育管理アプリケーションの使用イメージ(出典:パナソニック デジタル)
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 タブレットがオフライン状態でもデータを記録でき、オンライン状態に戻ったときに自動でサーバーに同期する点が役立った。水族館はコンクリート造のため、バックヤードでは無線LANが届きにくく、接続が途切れることがよくあったからである。

 飼育記録のデジタル化により、毎朝の印刷・ファイリングの負担がほぼなくなった。使い勝手も上がり、ショー担当の人間が開演30分前に放送室で待機する隙間時間にも記録を入力できるようになった。新人への記入方法の指導も不要になった。また、写真を添付して一元管理できるようになった。

 現在は、BIツール「Tableau」を使い、飼育記録の分析・可視化に取り組んでいる。例えば、半年分の蓄積データを分析したところ、「給餌量と体重・換毛の相関関係」など、紙のノートでは見えていなかった情報を可視化できたという。

 今後は、同じショーチームで担当しているペンギンとザリガニへの展開を考えている。また、管理職が確認・承認する「総給餌回覧」のワークフロー化も検討中である。さらに、水族館の他の飼育チームも飼育記録のデジタル化に興味を持ち始めているという。

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