日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2009年2月25日、システム開発時の要件管理とテスト管理を統合し、アプリケーション品質の管理と全社レベルでの品質プロセスの標準化を支援するソフトウェアソリューション「HP Quality Center 10.0」を発表した。製品の販売開始は2009年4月1日。
日本HPによれば、ソフトウェアの不具合の大半は、“ユーザー要件を十分に理解していない”、“要件が不明確”などの「要件」に起因する。このような不具合は、ITエンジニアが開発の途中で発見・修正することは困難であり、その多くがユーザー受け入れテストでユーザーによって検出されるため、プロジェクトコストに大きな影響を与えるという。
このような問題による影響を最小限におさえてプロジェクトを成功に導くためには、要件管理と、要件を満たすためのテストを計画・実行して不具合を解消するテスト管理を統合し、必要な品質レベルを確実に達成する品質管理プロセスが不可欠である。また、複数プロジェクトが同時進行する大規模環境システムでは、そうした品質プロセスが標準化されてすべてのプロジェクトで共通に適用されることが、全社レベルでの品質向上につながる。
「HP Quality Center 10.0」は、要件管理とテスト管理を1つのプラットフォーム上に統合することで、すべてのテスト資産を統合的に管理し、要件と他の要件・テスト・不具合間で双方向のトレーサビリティを提供するだけでなく、バージョン管理やベースライン機能、要件の変更やそれに伴うテストの変更を管理できるというもの。共通プロセスの設定や、プロジェクト間でテスト資産を共有・再利用する機能により、全社レベルでの品質プロセスの標準化と品質レベルの統一を図れることも大きな特徴となっている。
同ソリューションは、システムの規模に合わせて「Starter Edition」「Enterprise」「Premier」の3つのエディションから選択できる。各基本製品とサイトライセンス参考価格(税込み)は以下のとおり。
- HP Quality Center Starter Edition:50万4000円~
- HP Quality Center Enterprise:504万円~
- HP Quality Center Premier:924万円~
- 追加同時QC要件管理ユーザー(要件管理モジュールのみの追加ライセンス価格):33万6000円~
なお、「HP Quality Center 10.0」の主な新機能は、下表のとおり。
要件/テストのバージョン管理(全エディション共通) | 要件、テスト、ビジネスコンポーネントといったテスト資産に対する変更の履歴を管理する。ユーザーのチェックアウト・チェックインにより、変更の重複による不一致を防ぐことが可能。変更を加えられた資産に対してはバージョン番号で管理される。また、すべての変更に対する監査証跡が記録される。 |
ベースライン管理(全エディション共通) | 任意の時点のテスト資産(要件、テスト、ビジネスコンポーネント)の内容をベースライン(基準点)としてキャプチャー(記録)する。プロジェクトの期間中、テスト資産に対各種変更が加えられても、必要に応じてベースラインの内容を再現できる。また、異なるベースライン間やベースラインと現在の内容とを比較することも可能。 |
自動機能テストツールのリソースを統合的に管理(全エディション共通) | 同社の自動機能テストツール「HP Quick Test Professional software」で作成・使用される共有オブジェクトレポジトリや関数ライブラリ、データテーブルなどのテストリソースを「HP Quality Center 10.0」内で集中的に管理して、品質プロセスにテストの自動化を連携させられる。テストリースに対してもバージョン管理を行って、不用意な変更による不一致を防ぐことができる。 |
プロセス設定支援機能(Premierのみ) | テンプレートプロジェクトに指定したカスタマイズを各プロジェクトに自動的に配布する機能により、プロジェクト間で共通に適用すべき品質プロセスを反映させ、品質プロセスの標準化を図ることができる。プロジェクトマネージャでプロジェクト独自のカスタマイズも可能。 |
プロジェクト間の要件/テストの再利用機能(Premierのみ) | 他のプロジェクトで定義されている内容をインポートして再利用することが可能で、それにより異なるプロジェクトでも共通の品質基準に基づいてテストを行うことができ、企業レベルでの品質レベルの向上につながる。 |