財務報告の世界標準に向けサイは投げられた。動き出す国内企業も出現──2005年、欧州では上場企業にIFRSを強制適用。これが1つの呼び水となり、米国、そして日本もIFRSを適用する姿勢を明らかにした。過去〜将来に向けての動き、日本企業の意識、そして対応の方法を図解で理解しよう。
2015年に強制適用になる見通し
欧州は2005年、域内上場企業にIFRSを強制適用した。これに続き、米国も2014年に国内上場企業にIFRSを強制適用する。欧州、米国という2大経済圏の動きに、日本も追随せざるを得ない。現在、日本では自国の会計基準をIFRSに近づける「コンバージェンス」が進行中だ。
上場企業91社が任意適用を検討中
日本経済団体連合会は2009年3月、日本の上場企業におけるIFRS適用への取り組み状況に関する調査を実施した。回答企業385社のうち12社が「任意適用を前向きに検討したい」とした一方で、全体の半数は「強制適用で対応したい」と回答。企業間の温度差を感じさせる結果となった。
IFRS適用3つの意義
「IFRS対応を機にシステムインフラ整備や業務効率化を進め、経営改革の取り組みへとつなげるとなおよい」(デロイト トーマツ コンサルティングの中村明子シニアマネジャー)。
会計情報の持ち方はこう変わる
「情報の一元性と税務の効率化を両立させるには、IFRSと日本基準それぞれに準拠したシステムを併存させる『複数元帳モデル』が望ましい」(アクセンチュア IFRSチームの鈴木大仁パートナー)。