米Morph Labsは2010年1月29日、システム構成やアプリケーション構成を設定済みのWebシステム環境を仮想サーバー環境に対してデプロイ(配信/公開)する運用管理製品「mCloudシリーズ」を発表した。Ruby on Railsなどで開発したWebアプリケーションを、社内データセンターや社外データセンター(パブリッククラウド)の区別なく、配信/設定できる。
2010年2月1日から、米Morph Labsが直販で販売開始する。売上目標は、今後3年間で20億円。提供形態は、運用管理ソフトなどをPCサーバーにインストールしたアプライアンスであり、月額制(10万円から)で提供する。アプライアンスが提供する運用管理機能をSaaS型で提供するサービスも用意した。また、国内のクラウド関連サービス事業者が数社が、自社サービスとmCloudシリーズを組み合わせて提供を開始する予定。
サーバー構成をテンプレート化、社内/Amazonのハイブリッド
mCloudシリーズを使うと、Javaアプリケーション・サーバー(MVCフレームワークとしてRuby on Railsなど)、データベース・サーバー(MySQLやPostgreSQLなど)、負荷分散装置(ロード・バランサ)など複数の階層で構成するWebシステム一式を、アイコンを用いたGUI画面や設定済みテンプレートを用いて構築/配信できるようになる。他の運用管理ソフトからmCloudシリーズの機能を利用するためのAPIも公開している。
仮想サーバー運用基盤(クラウド基盤)ソフトとしては、米Eucalyptus Systemsが開発したオープン・ソース「Eucalyptus」を利用している。サーバー仮想化ソフトはXenとKVMで(近日中にVMwareを利用可能にする)、社内の仮想環境に加えて、同一のインタフェースを介してパブリック・クラウドのAmazon Web Services(AWS)の各種サービス(EC2など)を利用できる。監視機能は、サーバー監視ソフトの「Nagios」やSNMP監視データのグラフ化ソフト「RRDTool」を利用する。
mCloudシリーズ(アプライアンス)の月額料金は以下の通り。(1)外部に用意した最大100台までの仮想サーバーを管理可能な制御製品「mCloud Controller」(米IBM製1Uラックマウント)が、月額20万円から。(2)仮想サーバー96台の稼働環境を兼ねたオール・イン・ワン製品「mCloud Server」(米IBM製ブレード・サーバー)が、月額70万円から。なお、10~20台程度を運用できるスタータ・キット(台湾Shuttle製キューブPC)が月額10万円から。
なお、米Morph Labsは、Amazon AWSの登場に合わせて事業を開始したベンダー。Amazon AWS環境の上でWebシステムをデプロイするサービス(Morph AppCloudやMorph AppSpace)を提供している。現在、100%小会社として日本法人「モーフ・ラボ」を設立準備中。mCloudシリーズを利用したサービス提供を表明しているベンダーは、ネオジャパン、ブロードバンドタワー、CSKシステムズ。
mCloudシリーズのWebシステム構築/配信画面。Ruby on Railsアプリケーションを設定している