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ERP最大手の社長がモバイル戦略を語る

2010年10月1日(金)

社長 ギャレット・イルグ氏/SAPジャパン (聞き手は本誌編集長 田口 潤) ─SAPは2010年に入り、「オンデバイス」というメッセージを強く打ち出している。

SAPジャパンのギャレット・イルグ社長兼CEO SAPジャパンのギャレット・イルグ社長

イルグ氏:「オンプレミス」「オンデマンド」と並ぶ、当社の戦略の柱だ。SAPアプリケーションを、iPhoneやiPadといった様々なデバイスでどこからでも利用可能にする。

─国内のニーズをどう見ているか。

イルグ氏:企業は今、より迅速で精緻な意思決定を支援するための仕組みを求めている。グローバル競争が過熱するなか、環境変化への対応の遅さは致命傷になるからだ。オンプレミスやオンデマンドのシステム上にあるデータに、モバイルデバイスから一気通貫でアクセス可能になれば、意思決定の速度や精度が大幅に向上する。

加えて、日本は世界有数の通信インフラを備え、モバイル機器の活用が広く浸透している。オンデバイスの考え方を受け入れる下地は海外以上に整っているということだ。

─これまでの導入事例は?

ギャレット氏:社名は明かせないが、すでに数社ある。例えば、ある大手通信企業は、SAPアプリケーション上の受注実績や見込みといった情報を、営業担当者がモバイル機器を使ってリアルタイムに見られるようにした。

─オンプレミス、オンデマンド戦略についても聞きたい。

イルグ氏:オンプレミス領域は、これからも当社の主要ビジネスであり続ける。企業活動の根幹となる基幹系システムは、今後も企業内に残るからだ。最近よく耳にする「企業内の全システムをクラウド化できる」という主張には疑問を感じる。とりわけ大手企業が、基幹データをすべて社外に出すとは考えにくい。オンプレミス領域の目玉は、データをハードディスクではなくメモリーに展開するインメモリーDBだ。この技術により、企業は自社のシステム性能を向上させるとともにインフラコストを削減できる。現在、一部の顧客で試験運用を実施しており、2010年10月以降に実用化できる見込みだ。

その一方で、CRMなど基幹系以外のシステムがクラウドに移行していくことは間違いない。そこで当社は、アプリケーション機能をSaaS型で提供するオンデマンド戦略を進めている。2010年9月には、CO2排出量を管理する「Carbon Impact On-Demand」の日本語化を完了する。クラウド型コラボレーションツールである「StreamWork」も、国内での提供に向けて検証を続けている。

(修正2010年10月1日15:14)掲載当初、ギャレット・イルグ氏の肩書きを「社長兼CEO」としていたのは、「社長」の誤りでした。本記事では修正済みです。

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