Bigdataを初めとするデータの大規模複雑化を、最新の情報技術で征服する(Conquer Cpmplexity)−−。この言葉をメインテーマに掲げた米テラデータの年次ユーザーカンファレンス、「PARTNERS」が10月2日、米サンディエゴで幕を開けた。
今年のPARTNERSは270以上の講演(うち150がユーザー企業)が行われ、3000人以上が参加。4万5000人以上が参加する同時期開催のOracle Open Worldとは比較にならないが、ことDWHとデータ分析の領域では、Teradataが強みを発揮。OracleやIBMなどとの競合が厳しくなる中で順調に新規ユーザーを獲得している。ユナイテッド航空やサブウェイ、韓国テレコムがその例だ。
マイクコーラー同社CEOは2日の基調講演で、「2010年は売上高が前年比10%増。2011年度は18%から20%増を見込む」と好調ぶりをアピール。「100TB以上のデータを持つTeradataユーザーは2010年12月から11年6月までに56社増え275社に、1PB以上の顧客も同期間に倍の20社になった」(同)。加えて現在のホットトピックであるBigdataに焦点を合わせたカンファレンスだけに、参加者は熱心な議論を展開した。84PBものデータを蓄積/活用するeBayなどの講演の模様は改めて報告することにして、ここでは新製品を中心に紹介する。
開幕に先立つ9月22日に発表した製品がTeradata Database14。主力ソフトの最新版で、12月に出荷する。Bigdataやアプリケーションの複雑性への対応、セキュリティの強化、増大する一方の負荷への対処などが特徴だ。そのひとつがワークロード(負荷)マネジメント。グループや事業部門、アプリケーションに応じて、システム資源を割り振る”仮想パーティション”を提供する。分析の優先度の高い部署や、大規模データの分析を行う場合に、多くの資源を使えるようになる。
中核機能の一つである“データの温度マネジメント”も強化した。よく使われるホットなデータは高速のディスクに圧縮しない形式で、そうでないコールドなデータは普通のディスクに圧縮して格納。これを自動的に実行することで、ストレージ容量の増大を防ぎ、性能を最大化するのが同社の言う、データの温度管理だ。新版では”温度”の一部として、地域が異なると週の初めが異なるようなケースも考慮した。さらにセキュリティ面では、データレコード1件1件のレベルでアクセス制御が可能になった。
Teradata Database14の追加機能として、Teradata Columnarと呼ぶソフト製品も発表した。名前の通りカラム(列)式のDBで、インデックスを不要にする。従来からあるロー(行)型のDBを補完し、相対的に項目の少ないデータの分析を高速化する。アプリからは必要に応じて両方使える。圧縮率も高いといい、表構造ではないデータ−−BigDataを含む−−の分析用途を想定している。
第2がTeradata Analytical Ecosysytem。製品と言うより、ハードとソフト、サービスを組み合わせ、複数のTeradataシステム同士を協調動作させるためのソリューションである。データの大規模化や複数世代のTeradataシステムを統合したい企業がターゲットだ。複数のTeradataシステムをまたがってクエリーのルーティング、データベースの同期などを実行する中核ソフトのUnity、システム管理用のMult-System Manager、それにTeradata製のハード、そして企画から設計、インプリメントを支援するサービスからなる。
第3がアプライアンスの新製品、Teradata Data Warehouse Appliance 2690。現行機種に比べ性能を2倍、データ容量を3倍に高めた。1キャビネットあたり最低2TB〜315TB を格納可能。スキャンはキャビネットあたり38GB/秒。電力消費は60%、設置面積は50%をそれぞれ削減している。
もう一つが「Teradata Aster MapReduce Platform」。非構造(Teradataは多構造=Multi-Structuredと呼ぶ)のデータ分析に特化したアプライアンス製品だ。買収したAster社が提供するAster Database5.0とそれを稼働させるハードウェア、それにTeradataシステムと連携させるアダプタで構成する。
Aster Database5.0は、MapReduceとSQLを統合した、SQL-MapReduceと呼ぶ分析フレームワーク機能を持つのが特徴。これにより非構造データの探索や分析が容易になる。出荷は2012年の初めを予定している。