静岡県三島市は、テレワーク端末に秘密分散方式を用いた情報漏洩対策を講じた。ZenmuTechの「ZENMU for PC」を導入し、従来のPCと変わらない操作性と性能を保ちつつセキュリティを確保している。ZenmuTechが2025年6月27日に発表した。
地方自治体では近年、情報セキュリティの強化が喫緊の課題となっている。特に、個人情報や機密文書を取り扱う業務において、堅牢なセキュリティ対策が求められている。同時に、働き方改革や災害時の業務継続、テレワークの推進など、自治体職員の業務環境も変化している。
三島市では、これらの変化に対応しながらも、安全性と利便性を両立したITインフラの構築が求められていた。「従来のVPNやVDI(デスクトップ仮想化基盤)は構築・管理費用が高く、柔軟性に欠ける」(同市)。
こうした経緯から、テレワーク業務用端末に、ZenmuTechの秘密分散方式による情報漏洩対策ソフトウェア「ZENMU for PC」を導入した。加えて、TOKAIコミュニケーションズの閉域モバイル通信サービスを利用している。
ZENMU for PCは、業務データを暗号化して分割し、ZENMU for PCをインストールしたPCとファイルサーバーに分散保存する。両者が揃わなければデータが復元できない構造になっているため、仮に端末を紛失しても、情報は漏洩せずに済む(図1、関連記事:ZenmuTech、秘密分散型の情報漏洩対策ソフト新版「ZENMU for PC 5.1.1」、BLEモードでiPhoneに分散片を保存)。

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導入の目的として三島市は、導入費用を抑えつつ端末紛失・盗難などによる情報漏洩リスクを抑えられること、職員やIT部門にとって負担が少ないことなどを挙げる。従来のPC環境と変わらない操作性と性能を保てることも評価している。
同市は今後、ZENMU for PCの適用範囲を庁内全体へと広げる。また、災害時のBCP(事業継続計画)としても活用する予定である。