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住友ゴム、タイヤの変形挙動をAIで予測する「AIサロゲートモデル」を開発、解析時間が9分の1に

富士通と共同開発、2027年4月に実運用へ

2026年6月3日(水)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

DUNLOPブランドなどで知られる住友ゴム工業(本社:兵庫県神戸市)は2026年6月3日、タイヤの変形挙動をAIで予測する「AIサロゲートモデル」を富士通と共同開発し、効果検証で有効性を確認したと発表した。タイヤが路面に接地した際の解析時間を従来の約45分から約5分に短縮した。タイヤ設計において2027年4月の実用開始を目指す。

 住友ゴム工業は、住友グループに属する総合ゴムメーカーである。兵庫県神戸市に本社を置く。「DUNLOP(ダンロップ)」や「FALKEN(ファルケン)」などの製品ブランドをグローバルで展開し、自動車用タイヤやスポーツ用品、産業用ゴム製品などを製造・販売している。

 今回、同社は、タイヤの性能を予測する「AIサロゲートモデル」を富士通と共同開発し、効果検証で成果を確認した(図1)。路面接地時の変形挙動予測において、解析時間を従来の約45分から約5分へと9分の1に短縮しながら、約60万要素(メッシュ)規模での高精度な解析を実現している。

図1:タイヤ構造解析をAIで高速化する取り組みの概要(出典:住友ゴム工業、富士通)
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 住友ゴムによると、タイヤ設計の現場では、製品や構造物の挙動をシミュレーションして性能・安全性を評価するCAE(コンピュータ援用工学)解析の1手法であるFEM(有限要素法、注1)解析が広く使われている。ただし、「メッシュを細かくして要素数を増やすほど精度は向上するが、計算時間と開発コストが増大する。また、解析には専門知識が必要で、熟練技術者の確保も課題だった」という。

注1:有限要素法(FEM:Finite Element Method)は、複雑な形状の構造体や物体を細かく分割し、それぞれの小さな部品(要素)ごとにかかる力や温度変化などの物理現象を数値計算によって解明する数値解析手法のこと。実物を作る前にコンピュータ上で安全性や性能をシミュレーションできるので、製品設計や建築分野で広く活用されている。

 この課題を解決するため、富士通と共同で、蓄積済みのFEM解析結果を学習データとして、FEMの基礎方程式の解を高速に予測するAIモデルを開発した。アルゴリズムのベースとして使っているグラフニューラルネットワーク(GNN)は、FEMのメッシュのような不規則なグラフ構造データを直接扱える。

 効果検証では、路面接地時の接地形状や接地圧分布など、変形挙動と接地特性の評価を対象とした。「FEM解析と比べ、接地形状を平均87.7%の精度で予測できた。この技術を使うと、タイヤの構造や材料の仕様をより少ない設計プロセスで短時間に決定できる」(同社)。

 住友ゴムは2026年12月までに、富士通が開発中のArmベース次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」を搭載した検証システムにおいて実証を始める。また、専門知識がなくても設計者が直接使える開発支援ツールとしての展開を進め、2027年4月の実運用開始を目指す。

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