[市場動向]

AIを悪用したサイバー脅威の激化、サプライチェーンをどう守るか?─フォーティネットジャパン

2026年6月2日(火)神 幸葉(IT Leaders編集部)

フォーティネットジャパンは2026年5月28日、事業戦略説明会を開催した。説明会では、日本の企業におけるDXやクラウド移行に伴うネットワーク構造の変化と、AIを悪用したサイバー脅威の激化を総括。これに対し同社は、今後3年間で技術体制を倍増し、サプライチェーン全体の防衛とAIアシスト機能を組み込んだ自律型防御の提供を推進する方針を示した。

ネットワーク構造の変化とハイブリッド型SASEの台頭

 フォーティネットジャパン マーケティング本部 フィールドCISOの登坂恒夫氏(写真1)によると、「現代の企業ネットワークは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展とコロナ禍以降のリモートワークの普及により、劇的な構造変化を遂げた」。

写真1:フォーティネットジャパン マーケティング本部 フィールドCISO 登坂恒夫氏

 「2025年の崖」と呼ばれていたレガシーのシステムの移行・刷新は、オンプレミスも含めて適材適所によるマルチインフラ化が進んでいる。直近では、DX推進によって、サプライチェーン間の情報共有・連携も強化されつつある(図1)。

図1:企業ネットワークの変化(出典:フォーティネットジャパン)
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 その結果、通信キャリアが提供する専用回線(閉域網)ではなく、インターネット回線を経由したクラウド利用やリモートアクセスなどの開放網が主流となってきている。この変化に伴い、従来のWAN構成からSD-WANへの移行が進んだが、VPNの脆弱性が狙われるなどの新たな課題も生じているという。

 登坂氏は、「脆弱性の問題が顕在化し、アクセスごとに検証を行うゼロトラストや、ネットワークとセキュリティを統合したSASEへのニーズが高まっている」と説明した。特に、マルチインフラ化が進む中で、クラウドとオンプレミスを高度に連携させ、ボトルネックを解消できる「ハイブリッド型SASE」の重要性が増しているという。

サイバー脅威が加速、防御側にもAI活用が不可欠に

 サイバー脅威は年々深刻さを増しており、被害総額は2025年までに世界のGDPで第3位に相当する規模に達すると予測されている。フォーティネット FortiGuard Labsによると、攻撃のスピードも極めて高速化しており、脆弱性の公開から悪用されるまでの時間は、かつての4.76日から24〜48時間以内へと大幅に短縮された。脆弱性の攻撃回数も2025年時点で1200億回を超えている(図2)。

図2:サイバー脅威は高速化で深刻さが増している(出典:フォーティネットジャパン)
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 さらに、攻撃者側のAI活用が脅威を加速させている。攻撃者はAIを用いてシステムログを分析し、ターゲットを精緻にプロファイリングすることで、攻撃を高速化する。2025年のランサムウェアの被害件数は前年比で約389%増という驚異的な伸びを見せているという。

 こうした状況下では、防御側もAIの活用が不可欠である。脆弱性の急増、攻撃対象領域の拡大、攻撃の高速化に対応するためには、AIによる予兆検知や自動運用が求められる。また、AIエージェントが多くの場面で活用されるようになれば、ラテラルムーブメントも脅威になってくる。登坂氏は「攻撃によってAIが暴走する可能性もある。人の介入による保護も必要になってくる」と語り、AI時代のセキュリティのあり方を再検討する必要性を訴えた。

●Next:サプライチェーンをどう守るのか? フォーティネットが示す戦略と提供価値

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