JBoss Enterprise Application Platform 6がCloud Readyを標榜する理由 クラウドコンピューティングが全盛を極め、“クラウド対応”製品が市場に溢れる今日、その手のメッセージは時流に迎合したものに過ぎないと見る向きもあろう。だが、「Cloud Ready」を標榜するオープンソースJava EEアプリケーションサーバー「JBoss Enterprise Application Platform 6」は、クラウドに必要な要件を明示したうえで、アプリケーション基盤を“クラウドに開放する”道筋を示しているのである。
エンタープライズ利用が常識となった「JBoss」製品群
「JBoss Enterprise Application Platform 6(EAP6)」が近々に正式リリースの予定だ。企業においてオープンソースソフトウェア(OSS)の適用領域が着実に広がり続けてきたのは周知の事実だが、JBossも順調に導入企業数を増やしており、国内でもいくつかの優良企業が自社の業務アプリケーションを支える標準基盤として採用を始めている。
一例を挙げると、日産自動車はグローバルの標準基盤としてJBossを導入、住友商事はプロプライエタリなアプリケーションサーバーからJBossに移行した。また、大阪ガスは700万世帯の顧客に対するサービス基盤としてJBossを採用している。ほかにも多数の企業がJBossを利用しているが、いずれの企業もOSSのコストメリットのみに期待したのではなく、オープンスタンダードであることや高い信頼性といったJBossならではの価値を評価したのだ。
「Cloud Ready」、その理由は「超軽量」と「超高速」
それでは、新バージョンのJBoss EAP6がもたらす価値とは何だろうか。JBoss EAP6の最大の特徴は、「Cloud Ready」を標榜している点である。この標語の下に同製品は、クラウドの構成要素としてのアプリケーションサーバーが備えるべき必須要素を満たしている。それが、「超軽量」と「超高速」である。
従来のアプリケーションサーバーは、数多くの機能を実装することでユーザーニーズに応えてきたが、その分、多くのITリソースを消費するようになった。そのような“重量級”アプリケーションサーバーは、潤沢なITリソースを確保しやすいオンプレミス環境には向いていたが、マルチテナントという言葉に象徴されるように、ITリソースの効率的な活用が求められるクラウド環境には適していない。
例えば、クラウド環境下では、仮想マシンがプライベートクラウドからパブリッククラウドに一時的に退避するケースも考えられるが、その仮想マシンが大量のITリソースを消費する重量級アプリケーションサーバーを搭載していたら、どのようなクラウドでも安定稼働できるというわけにはいかなくなる。また、クラウド環境下では仮想マシンの起動・停止を頻繁に行うケースも想定されるが、重量級アプリケーションサーバーは起動・停止にも長い時間が必要だ。
このような現実的なクラウドにまつわる課題を解消したのが、JBoss EAP6である。軽量化・高速化のためのチューニングを徹底し、従来どおりの高機能を提供しているにもかかわらず、使用メモリーを最小100MB、起動時間を3秒程度に抑えている。JBoss EAP6がCloud Readyを標榜するのには、明確な根拠があるわけだ。
企業アプリケーション基盤をクラウドに開放する
Cloud Readyを志向したJBoss EAP6への進化は、レッドハットが歩んできた路線をさらに前進させたものだと言える。
かつてLinuxの企業利用は、Web/メールサーバーやファイルサーバーなどにのみ限定されていた。そこに同社は2002年、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)をリリースすることで、単なるオープンソースソフトウェアのOSではなく、エンタープライズ利用に耐えうるOSにまでLinuxを進化させた。さらに2009年には、クラウドプロバイダー向けの認定プログラムの提供を開始し、RHELをクラウドサービスに適用するためのさまざまな支援を進めてきた。いわば“エンタープライズOSをクラウドに開放する”取り組みだ。
そして次の一手が“企業アプリケーション基盤をクラウドに開放する”─これこそ、JBoss EAP6の真の狙いなのである。
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