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秘密分散保護でBCPを支援するクラウドストレージ「析秘STORAGE」─NTTドコモビジネス
2025年7月2日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
NTTドコモビジネス(2025年7月にNTTコミュニケーションズから社名変更)は同年7月2日、データ保全用クラウドストレージ「析秘(せきひ)STORAGE」を提供開始した。秘密分散技術を利用し、地理的に離れた国内の3拠点(北海道、東京、大阪)にデータを分散保存する。災害復旧(DR)用データバックアップなど、BCP(事業継続計画)の需要に応える。料金(税別)は初期費用が100万円、データ保存料は最安価プランで1GBあたり月額2.7円。
NTTドコモビジネス(2025年7月にNTTコミュニケーションズから社名変更)の「析秘(せきひ)STORAGE」は、データ保全用途のクラウドストレージである。秘密分散技術を利用し、地理的に離れた国内の3拠点(北海道、東京、大阪)にデータを分散して保存する(図1)。
災害復旧(DR)のためのデータバックアップなど、BCP(事業継続計画)の需要に応える。ストレージからデータを復元する用途を狙い、データのダウンロード転送に費用がかからない料金体系を採用している。

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特徴として、データの保全性を高める手段に秘密分散技術を採用。データに特殊な符号化を施して複数の断片に分割することで安全性と可用性を両立させる技術である。今回提供する析秘STORAGEの場合、3つの断片に分割して分散保存し、このうち2つが揃わないと復元できない(図2、関連記事:ISOが秘密分散技術の標準規格を発行、全5方式の1つはNTTの独自技術)。

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ユーザーインタフェースは、Webブラウザ画面とWeb API(Amazon S3互換)の2種類がある。Webブラウザからファイルのアップロードや一覧表示、ダウンロードなどが可能である。Web APIについては、HTTPSが使える環境で端末画面(CLI)のコマンドやアプリケーション組み込み機能などから利用できる(画面1)。

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システム構成により、2つの軸の組み合わせで、4つのプランを用意した(図3)。軸の1つはデータを保存するストレージの種類で、ダウンロードが速い「標準モデル」と、容量単価が安い「アーカイブモデル」の2種類から選ぶ。標準モデルは、各拠点のローカルストレージ(ブロックストレージ)にデータを保存する。データ復元量やタイミングに制限はない。
一方のアーカイブモデルは、米Wasabi TechnologiesのAmazon S3互換オブジェクトストレージ「Wasabi」にデータを保存する。なお、アーカイブモデルでは、1カ月に1度だけバックアップデータを全量復元可能である(関連記事:パナソニックIS、Amazon S3互換クラウドストレージ「Wasabi Hot Cloud Storage」を販売)。
2つ目の軸は分散保存先である。3分割したデータをすべてクラウドに保存する「フルクラウド」と、保存先3拠点の1つをユーザー拠点とする「ハイブリッド」の2種類から選ぶ。ハイブリッドの場合、ユーザー拠点以外の2拠点は、「東京と大阪」または「大阪と北海道」の組み合わせのいずれかである(図4)。

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表1はプラント料金である。いずれのプランでも、バックアップデータを元に戻すといったダウンロード時のデータ転送に費用は発生しない。
モデル | 実装方式 | 初期費用(税別) | GB単価 月額費用(税別) |
---|---|---|---|
標準モデル | フルクラウド | 100万円 | 360円/GB |
ハイブリッド | 340円/GB | ||
アーカイブモデル | フルクラウド | 3.9円/GB | |
ハイブリッド | 2.7円/GB |