公立置賜総合病院(山形県東置賜郡川西町)は、ランサムウェアによる暗号化などのサイバー攻撃から医療情報データを保護するため、データバックアップ用ストレージ「Dell PowerProtect Data Domain(PowerProtect DD)」を運用している。デル・テクノロジーズが2025年6月23日に発表した。
山形県東置賜郡で置賜広域病院企業団が運営する公立置賜総合病院。緊急医療受け入れのため、地域初の救命救急センター/ヘリポートを設けるほか、最新のがん放射線治療機器などを導入している。
同病院は、医療情報システムのデータをバックアップして保護している。しかし、以前のバックアップシステムは、災害/障害への対策が主な目的だった。ランサムウェアによるデータ暗号化などのサイバー攻撃に対しては脆弱だったという。
2024年10月に、新たな院内バックアップシステムとして、デル・テクノロジーズのデータバックアップ用途特化のNASストレージ「Dell PowerProtect Data Domain(PowerProtect DD)」(写真1)を導入。約2カ月で、現在は院内のほぼすべての医療情報システム(物理サーバー5台、仮想サーバー約140台)のバックアップを担っている。

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PowerProtect DDは、データを書き換え不能(イミュータブル)にして保存するWORM(Write Once Read Many)機能や、データ容量を削減する重複排除機能を備えている(関連記事:Dell EMC、バックアップ専用ストレージ新ブランド「PowerProtect DD」、Data Domain後継)。
置賜総合病院の従来環境では、本番システムとバックアップシステムの両方がランサムウェアの攻撃を受けた場合、復旧の手立てがなかった。PowerProtect DD導入後は、バックアップデータを書き換え不能な状態で確保できるため、万一の際にも復旧が可能になった。
重複排除機能を有効に活用している。同病院の運用では、すべてのシステムを日次でバックアップし、最大7世代分のデータを保持しており、従来は容量230TBのストレージが必要だった。PowerProtect DDは、実効容量約170TBで同等のバックアップを実現している。
また、運用管理面での効果として、旧環境では、通知の仕組みがなかったため、管理者みずからコンソールを操作して定期的に状況を確認する必要があった。PowerProtect DDでは、メールなどで状況を通知するなどして日常的な監視作業の負荷が軽減されている。