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[市場動向]

米IBM、InnovateコンファレンスでRational製品群の強化を発表

2012年6月6日(水)IT Leaders編集部

IBMは2012年6月3日、米オーランドで開催中の年次イベント「Innovate 2012」で、ソフトウェア開発製品群「Rational」シリーズの強化を発表した。主力製品である「IBM Rational Team Concert」をはじめ、10以上の既存製品を新たにバージョンアップしたほか、2012年1月に買収したグリーンハットと、2月に買収したワークライトの製品をポートフォリオに追加した。

グリーンハットはテストツールを提供するベンダーで、仮想化技術を用いてテスト作業を効率化できる点に強みを持つ。例えば複数のアプリケーションで構成するシステムをテストする場合、通常はすべてのアプリケーションを揃えてシステムを完成させなければ一貫したテストを実施できない。

しかしグリーンハットは、未完成などの理由で用意できないアプリケーションを仮想的にシステムに配置することでテストの実施を可能にする。アプリケーションがどんなデータを受け取り、どんな処理結果を次のアプリケーションに引き継ぐのかといった情報を用意し、あたかもアプリケーションが処理したかのように次のアプリケーションに結果を渡すことができる。これにより、すべてのアプリケーションが揃うのを待たずにテストを実施でき、作業時間の短縮を見込める。

既存アプリケーションの処理内容をキャプチャして記録し、テスト環境に既存アプリケーションをインストールすることなくテストを実施することも可能だ。ライセンス費が発生するERPパッケージを含んだシステムをテストする場合でも、処理内容だけキャプチャしておけばライセンス費を払わずにERPと連携したシステムをテストできる。

3種の製品を用意する。グリーンハットの「GH Tester」(製品名を「Rational Integration Tester」に変更)と、Rationalの既存製品「Rational Functional Tester」などで構成する「Rational Test Workbench」は、キャプチャなどで取得した処理情報を1ユーザーに限り利用できる。

「Rational Test Virtualization Server」は、処理情報を複数ユーザーで利用でき、アプリケーションの性能をテストする「Rational Performance Test Server」も含む。「Rational Performance Test Server」は単体でも製品化しており、グリーンハットの性能テストツール「GH Performance」とIBMの「Rational Performance Tester」で構成する。

一方のワークライトは、モバイル向けアプリケーションの開発ツールを提供するベンダー。iOSやAndroid、HTML5などの異なるモバイル環境のアプリケーションを開発するツールを用意する。

「Worklight Studio」は「mobile simulators」と呼ぶ機能が特徴的だ。機種ごとに画面サイズが異なるスマートデバイスに対し、開発したアプリケーションがどのように表示するのかを1画面上で比較して確認できる。機種に依存する表示上の不具合を効率よく発見するのに役立つ。

新たにRational Team Concertと連携し、開発したアプリケーションを迅速に稼働環境へ展開できるようにした。そのほか、稼働環境である「Worklight Server」もモバイル開発製品群としてポートフォリオに追加された。

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