[技術解説]

AWSの主要サービス─ハイエンドHPC環境も提供、EC2/S3基軸にニーズ多様化に応える

ここまで来たメガクラウドサービス

2012年6月12日(火)IT Leaders編集部

2011年3月に東京リージョン(日本国内に構えるデータセンター群)からのサービスを開始したAWS。専用線接続サービス「AWS Direct Connect」など多くのサービスが東京リージョンで利用できるようになり、国内ユーザーに対し高速で安全なインフラであることを訴求する。

AWSは、高い計算力を必要とするアプリケーション向けに、HPC用のEC2も用意する。最上位のHPC用インスタンスは、8コアの「Xeon E5-2670」を2基、60.5GBのメモリー、10Gbpsのイーサネットを備える。これを数千コアまで密結合でスケールアウトできる。レンダリング処理向けに、動画や画像処理能力に優れる「GPU」を備えるインスタンスも利用可能だ。

EC2やS3といったIaaSを効果的に活用するためのサービスも揃える。「Auto Scaling」や「Elastic Load Balancing」のほか、データベースの種類も増やすなどして自社の要件に合致したシステムを構築しやすくする。

Amazon Web Services

コンピューティング
Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)

利用する仮想マシンのプロセサやメモリー、OSを起動するためのディスク容量などを選択できる。HPC用途を想定した高性能のクラスタ構成も利用可能

Amazon Elastic Compute Cloud

【価格】1時間あたり0.092ドル(Linux/UNIX版、スタンダードオンデマンドインスタンスの「スモール」プランの場合)

大量データ処理
Amazon Elastic MapReduce(EMR)

Hadoopを活用して大量データを高速処理する

【価格】1時間あたり0.015ドル(EC2のスタンダードオンデマンドインスタンスの「スモール」を利用した場合)

オートスケール
Auto Scaling

負荷に応じてEC2の数を自動的に増やしたり減らしたりする

【価格】無料(ただし、EC2およびモニタリングサービス「Amazon CloudWatch」の利用が前提)

ロードバランサ
Elastic Load Balancing

複数のEC2間でアプリケーションの負荷を自動的に分散する

【価格】1時間あたり0.028ドル(処理するデータ量1GBにつき0.008ドルが別途必要)

ストレージ
Amazon Simple Storage Service(S3)

HTTP経由でアクセスするタイプのストレージ。最大5TB。3カ所以上のデータセンターで相互バックアップする

Amazon Simple Storage Service

【価格】1GBあたり月額0.13ドル(最初の1TBまでの料金)

ストレージ
Amazon Elastic Block Store(EBS)

(仮想マシンの)OSから直接マウントするタイプのストレージで、データベースなどの用途を想定する。最大1TB

【価格】1GBあたり月額0.12ドル(100万I/Oリクエストにつき0.12ドルの費用が別途必要)

データ移行
AWS Import/Export

データをAWSの環境に移行する際、物理ディスクを配送して一括アップロードしてもらうサービス。ネット経由では時間がかかる大量データの移行などに向く。東京リージョンでは非対応

【価格】対象となるディスク1台につき99ドル(データを読み込む1時間ごとに2.99ドルが別途必要、リージョンがシンガポールの場合)

オンプレミス接続
AWS Storage Gateway

S3をiSCSIインタフェースを使ったSANストレージとしてオンプレミスのシステムと接続する。SSLを用いてデータをクラウドに転送するほか、暗号化してデータを保存する

【月額料金】125ドル(ゲートウェイの利用状況に応じる)

非リレーショナルデータベース
Amazon DynamoDB

NoSQLデータベースサービス。必要なスループットを指定すると、それに応えるリソースを自動的に調達する。テーブルに格納できるデータ量に制限はなく、データを分散して保存するため大量のリクエストに対して安定したパフォーマンスを発揮できる。すべてのデータをSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)に保存する

【価格】1時間あたり0.012ドル(ただし、書き込み/読み込み回数により価格は異なる)

非リレーショナルデータベース
Amazon SimpleDB

テーブルに格納するデータ量に制限を設けないDynamoDBに対し、1テーブルあたりのデータ量を10GBに制限する。1秒間の書き込み数も25回までと処理量に上限を設ける。機能や拡張性は劣るものの、保管するデータに自動的にインデックスを付与することでクエリー性能を維持する

【価格】クエリ—などのリクエストを完了するのに使用したマシンのリソース量に基づき課金する。1マシン1時間あたり0.162ドル(ただし最初の25マシン分は毎月無料)

リレーショナルデータベース
Amazon Relational Database Service(RDS)

リレーショナルデータベース機能を提供。MySQLとOracle Databaseを利用でき、これまで使ってきたアプリケーションやコード体系などを引き継げる。自動的にパッチを適用するほか、指定した頻度でバックアップを実施できる。2012年5月からマイクロソフトの「SQL Server 2008 R2」にも対応

【価格】1時間あたり0.12ドル

メモリーキャッシュ
Amazon ElastiCache

複数のキャッシュノードを利用した分散型のメモリーキャッシュサービス。データをメモリー上に展開することでアクセスを高速化する。Amazon SimpleDB、Amazon RDSの遅延を解消するのに役立つ

【価格】1時間あたり0.103ドル(スタンダードタイプの「スモール」プランの場合)

VPN接続
Amazon Virtual Private Cloud(VPC)

VPNで接続してAWSをプライベートクラウドのように利用できる。既存システムをAWSのリソースを使って拡張する用途に向く

【価格】VPN接続料金が1時間あたり0.05ドル

専用線接続
AWS Direct Connect

インターネットを経由せずに専用線を用いてAWSと接続する。オンプレミスと大量のデータをやり取りしたり、ネットワークの性能を重視したいケースに向く

【価格】1時間あたり0.3ドル(利用するポートの帯域幅が1Gbpsの場合)

デプロイ管理
AWS Elastic Beanstalk

WebアプリケーションをEC2にデプロイするだけで、負荷に応じて仮想マシンの追加やロードバランシングなどを自動的に実施する。例えば「Auto Scaling」を申し込み、仮想マシンを追加する際の条件としてプロセサの使用率の上限を事前設定するといった手間が省ける。ただし、仮想マシンが増えすぎないよう、利用上限を設定しておくことは可能。仮想マシンの挙動を監視したり、異常を通知したりする機能を追加できる

AWS Elastic Beanstalk

【価格】無料(ただし、EC2やS3、ロードバランサなどの利用に応じた料金がかかる)

テンプレート管理
AWS CloudFormatio

仮想マシンの種類やストレージの容量などをテンプレートとして管理する。同じ構成となるシステムを展開するのに役立つ

【価格】無料(ただし、EC2やS3、ロードバランサなどの利用に応じた料金がかかる)

モニタリング
Amazon CloudWatch

EC2やS3などのリソースの監視や、EC2に展開するアプリケーションの挙動をモニタリングする。プロセサやメモリーの使用状況をグラフで可視化する

【月額料金】1インスタンスあたり3.675ドル(1分間隔で行うモニタリングの場合)

アクセス管理
AWS Identity and Access Management(IAM)

クラウドにどのユーザーがアクセスできるのかを管理する。ユーザーのほかグループ単位でアクセス権限を設定することも可能

【価格】無料

関連キーワード

AWS / Amazon EC2 / Amazon S3 / DynamoDB / IaaS / クラウドストレージ

関連記事

トピックス

[Sponsored]

AWSの主要サービス─ハイエンドHPC環境も提供、EC2/S3基軸にニーズ多様化に応える2011年3月に東京リージョン(日本国内に構えるデータセンター群)からのサービスを開始したAWS。専用線接続サービス「AWS Direct Connect」など多くのサービスが東京リージョンで利用できるようになり、国内ユーザーに対し高速で安全なインフラであることを訴求する。

PAGE TOP