[技術解説]

AWSの主要サービス─ハイエンドHPC環境も提供、EC2/S3基軸にニーズ多様化に応える

ここまで来たメガクラウドサービス

2012年6月12日(火)IT Leaders編集部

2011年3月に東京リージョン(日本国内に構えるデータセンター群)からのサービスを開始したAWS。専用線接続サービス「AWS Direct Connect」など多くのサービスが東京リージョンで利用できるようになり、国内ユーザーに対し高速で安全なインフラであることを訴求する。

アプリケーションやWebサービスなどを利用可能にするデプロイツールも注目だ。2012年4月に東京リージョンで提供を開始した「AWS Elastic Beanstalk」は、システムを構成する上で必要なリソースのプロビジョニングやオートスケールなどの機能を自動的に設定する。「ユーザーは仮想マシンの上限などさえ取り決めれば、サービスごとに設定することなく必要な機能を組み合わせたシステムを容易に構築できる」(ソリューションアーキテクチャ本部 技術統括部長 エバンジェリスト 玉川憲氏)。必要に応じてログの収集やシステムの障害発生をメールで通知する機能などを追加することも可能だ。

IaaSやPaaSを補完するサービスも充実する。決済サービス「Amazon FPS」やメール配信サービス「Amazon SES」などは、アマゾン・ドット・コムが運営する通販サイトで実際に使用しており、企業は同一の仕組みを活用することができる。

そのほか、日本の商習慣に合わせて領収証や請求書を発行するサービスや、部署やプロジェクト単位ではなく企業に一括請求するサービスなども用意。AWSを使ったシステム開発を提供するクラスメソッドの横田聡代表取締役社長は、「以前にも増して日本企業向けにサービスが利用しやすくなっている。続々と登場するAWSの新サービスの内容をきちんと理解し、早期活用することが自社の競争力につながる」と指摘する。

IaaS/PaaSを補完するサービス

キューイング
Amazon Simple Queue Service(SQS)

キューイングサービス。未処理のデータを「キュー」として保存し、データ送信先の処理が終了するのを待たずに次の処理を行えるようにする

【価格】1万リクエストあたり0.01ドル

メッセージ送信
Amazon Simple Notification Service(SNS)

メッセージを送信するサービス。HTTPやメール、SMSなどを使って送信できる。作業の進捗を通知するアプリケーションなどで利用が見込める

【価格】無料(ただし、最初の10万リクエストまで。それ以降は10万リクエストにつき0.06ドル)

コンテンツ配信
Amazon CloudFront

コンテンツを高速に配信するサービス。コンテンツをキャッシュとして保持し、ユーザーは遠方のサーバーに保管するオリジナルのコンテンツではなく、近隣のサーバーが保管するキャッシュにアクセスすることで取得時間を短縮できる

Amazon CloudFront

【月額料金】最初の10TBまでは1GBあたり0.201ドル(HTTP/HTTPSによるリクエスト料が別途必要)

決済代行
Amazon Flexible Payments Service(FPS)

決済代行サービス。AWS上に構築した販売システムなどの課金機能を提供する。アマゾン・ドット・コムも同じ仕組みを利用する

【価格】無料(ただし支払方法と取引金額に応じて費用が別途必要)

受注処理業務
AWS Identity and Access Management(IAM)

受注処理をアマゾン・ドット・コムが代行するサービス。配送網を借りることで業務を効率化するのに役立つ

【価格】販売手数料とアマゾン・ドットコムの出品者向け販売支援サービス「FBA」の手数料がかかる

課金
Amazon DevPay

AWSのEC2やS3を使ってサービスを提供する事業者に代わり、AWSがサービス利用者に課金するサービス

【価格】顧客に発行した請求書あたり0.3ドル

DNS
Amazon Route 53

IPアドレスをドメインネームに変換、もしくはドメインネームをIPアドレスに変換するサービス。Webシステムに不可欠のDNSをサービスとして提供する

【月額料金】0.5ドル〜

メール配信
Amazon Simple Email Service(SES)

大量のメールを配信するサービス。アマゾン・ドット・コムはこの仕組みを利用して年間数十億通のメールを配信している

【価格】1000通あたり0.1ドル

タスク代行
Amazon Mechanical Turk

人手を必要とする単純作業をアウトソースするサービス。クラウドを使うことで人手を集めやすくする。ただし日本では未対応

【価格】タスクを完了するために支払った価格の10%

ワークフロー
Amazon Simple Workflow Service

ワークフローサービス。クラウドに加えてオンプレミスのアプリケーションを利用する順番も管理する

【価格】開始するワークフローが1000個あたり0.1ドル(ワークフローが完了するまでの時間や保持する日ごとに費用が別途必要)

サポート
AWS Premium Support

対応までの時間や電話サポートの有無などにより4つのプランを用意。上位の「プラチ」「ゴールド」は24時間365日の常時利用が可能となる

【月額料金】49ドル〜(ブロンズプランの場合)

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AWS / Amazon EC2 / Amazon S3 / DynamoDB / IaaS / クラウドストレージ

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