[技術解説]

今さら聞けない、ソーシャルデータ分析のきほんの「き」

社外データをビジネスに生かす

2013年3月11日(月)折川 忠弘(IT Leaders編集部)

Twitterの投稿内容を分析、全投稿を対象にしたサービスも登場──外部データを活用する一例に、TwitterやFacebookの投稿を分析し、マーケティング活動などに役立てるケースがある。企業はこうしたデータをどのように取得/活用すればよいのか。Twitterの投稿を取得する方法と、取得から分析まで実行する支援製品・サービスをまとめた。折川 忠弘(編集部)

TwitterやFacebookに代表されるソーシャルメディアの投稿から、自社商品やブランドなどがどう評価されているのかを把握しようとする企業が登場している。日常生活の中で語られる膨大な数の“本音”は企業にとって魅力的な評価材料の1つだ。

では企業はソーシャルメディアのデータをどのように取得すればよいのか。TwitterやFacebookの場合、無償で公開されるAPIを用いることで投稿データ(JSON形式)を取得できる。APIを利用するためのプログラムさえ用意すれば、自社で投稿内容を分析することが可能だ。

もし高度な分析を実施するなら、投稿内に肯定/否定的な記述があるかどうかを判定する分析エンジンや、どんな言葉を肯定/否定的と捉えるのかを判別する辞書などを用意したい。

ただし、公開APIはすべての投稿を漏らさず入手するわけではない。例えばTwitterなら、1時間あたりのAPIへのアクセス回数や一度に取得できる投稿数に制限がある。過去の投稿については最大1週間までしか遡って取得できない(表3-1)。Facebookの場合、取得可能なデータを制限するほか、特定の利用者間で閉じたグループ内の発言などは対象外となる。

表3-1 FirehoseとTwitterの公開APIを用いたときに取得できるデータの違い
表3-1 FirehoseとTwitterの公開APIを用いたときに取得できるデータの違い
※ここで言うFirehoseの仕様は、NTTデータのサービスとして利用する場合

自らソーシャルメディアのデータを取得できる素地は整うものの、プログラムや各種エンジンを揃えて分析環境を構築するのは相応のコストと時間がかかる。投稿データを活用するなら、投稿の取得、分析、結果の可視化までをトータルで支援する製品・サービスを検討するのが現実解といえそうだ。

全投稿を取得するAPI、分析精度向上に寄与

Twitterの投稿を分析する主要な製品・サービスを表3-2にまとめた。公開APIを使って投稿を取得するものが大半を占めるが、全投稿を対象に分析できるサービスも登場している。

その1つがNTTデータの「なずきのおと」だ。同社はTwitterと契約し、「Firehose」と呼ぶ特殊なAPIを用いる。これにより、なずきのおとでは全投稿を対象に分析を実施できる。「公開APIの場合、出現頻度の高いキーワードを設定すると投稿を取りこぼしやすくなる。Firehoseなら指定したキーワードを含む投稿を漏らさず取得できる」(第三法人事業本部 メディア・エンターテインメント事業部 メディア統括部 サービス企画担当 尾崎哲夫課長)。NTTコミュニケーションズの「BuzzFinder」やセールスフォース・ドットコムの「Salesforce Radian6」もFirehoseを使用することで全投稿を取得できる。

これら以外に、分析対象となるソーシャルメディアの種類を拡充したり、日本語を正確に解釈して分析精度を高めたりするサービスも多い。

表3-2 Twitter分析機能を主とする製品・サービス一覧
表3-2 Twitter分析機能を主とする製品・サービス一覧
関連キーワード

SNS / Twitter / Facebook / Web 2.0 / エンタープライズ2.0 / JSON

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