[技術解説]

人間と機械の関係はますます密なものに―米ガートナーが2013年版先進テクノロジー・ハイプサイクルを発表

2013年8月26日(月)河原 潤(IT Leaders編集部)

米国ガートナーは2013年8月19日、先進テクノロジー・ハイプサイクル(Emerging Technologies Hype Cycle)」の最新版となる2013年版リポートを発表した。近年登場した新しいテクノロジーがそれぞれどのような成熟度に到達しているのかを評価し、ハイプカーブと呼ばれる曲線上にマッピングしたITトレンド指標である。

 米ガートナーの先進テクノロジー・ハイプサイクルは、近年登場した新しいテクノロジーがそれぞれどのような成熟度に到達しているのかを評価し、ハイプカーブと呼ばれる曲線上にマッピングしたITトレンド指標である。

 今年は同ハイプサイクルを含む98の分野別ハイプサイクルを作成し、2000を超えるテクノロジーを評価した。中でも先進テクノロジー・ハイプサイクルは、注目の先進テクノロジーが市場において現在どのフェーズにあるのかを測る指標として、各所でよく引き合いに出される。

図:米国ガートナーによる、2013年版の先進テクノロジー・ハイプサイクル
(出典:米国ガートナー(2013年7月))

 今年の先進テクノロジー・ハイプサイクルでは、顕著な傾向として、「人間と機械の関係性のさらなる進化」を挙げた。ハイプカーブの頂点付近のPeak of Inflated Expectations(『過度な期待』のピーク期)には、倉庫で従業員の代わりに働く作業ロボット、スマートウォッチに代表されるウェアラブル・コンピューティングや、顧客への自動応答を行うバーチャル・アシスタントをマップした。この3領域に多大な注目と期待が寄せられていることが示している。

 これら3領域のテクノロジーについて、米ガートナーのリサーチ担当副社長、ハン・レホン氏は、「企業は将来、自社のビジネス生産性を高め、カスタマー・エクスペリエンスを変革し競争優位を追求するために、これら3領域のテクノロジーを組み合わせて活用することだろう」とコメントしている。なお、ハイプカーブの頂点部分には、ウェアラブル・コンピューティングと消費者向け3Dプリンタとゲーミフィケーションが並び、これらがまさに今が旬であることを示している。

 一方、過度な期待のピーク期を過ぎ、Through of Disillusionment(幻滅期)、そしてSlope of Enlightenment(啓蒙活動期)へと向かっているテクノロジーには、クラウドコンピューティングや拡張現実(AR:Augmented Reality)、インメモリ分析などが並ぶ。これらが旬は過ぎたものの、着実に普及に向かっていることを示している。なお、テクノロジーによっては、ハイプサイクルのゴールで、市場での完全な普及を示すPlateau of Productivity(生産性の安定期)に入る前に消滅ないしは陳腐化するものもある。

 「他社より3、4年先を先取りして先行者利益を築いてやろう」という野心を持つビジネスパーソンの中には、ハイプサイクルのスタート位置であるTechnology Trigger(テクノロジーの黎明期)に着目している人も多いだろう。ガートナーの知見を借りるそのアプローチは理にかなっていると言えるが、もちろん確実な正解があるわけではない。

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Gartner / ハイプサイクル / IoT / ゲーミフィケーション / R&D / スマートウォッチ

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