[ユーザー事例]

新興企業で頻発する組織変更、複数システムのユーザー情報メンテナンスをEAIで合理化

人気機種「DARTSLIVE」製造元、ダーツライブの取り組み

2013年8月27日(火)IT Leaders編集部

組織改編や人事異動が頻繁にある伸び盛りの新興企業。社内に多々あるシステムのアカウント情報を効率よくメンテナンスすることが大きな課題になっていた。データ連係ツールを活用し、マスターのみに加えた変更を自動的に各システムに同期させる仕組みを築いた。

ダーツバーに行くと、様々なタイプの業務用ダーツマシンが設置されているが、中でも多くのプレーヤーから支持されている機種の代表格が「DARTSLIVE」だ。会員カードによる得点の記録、ネットを介したオンライン対戦など、最新技術を駆使して遊技の面白さを多面的に拡張している点が評価されている。

DARTSLIVEを企画・開発・販売しているのがダーツライブ。セガサミーグループに属する、2003年設立の新興企業だ。海外展開にも力を注いでおり、今や設置台数は10カ国以上、1万台超に達する。またゴルフパッティングゲーム「BIRDIE WORKS」をはじめ、これまでのノウハウを活かした“横軸展開”にも余念がない。

業容拡大と共に社内のデータ連係が課題に

そのダーツライブにとって、情報システムはまさに成長を支える経営基盤そのものだ。幾多のシステムを運用しているが、代表的なものをざっくりと整理すると、以下のようになる。

サービス基盤システム

  • 【ゲームサーバー】DARTSLIVEマシンとネットワークを介して通信するセンターサーバー。会員情報や成績などを集中管理。データセンター内で稼働する独自開発のシステム

社内向け基盤システム

  • 【CRMシステム】ゲームサーバーを介して取得するゲームマシン個別の稼働状況を管理し、営業支援に役立てる
  • 【社内ポータル】メールやカレンダー等の社内外のコミュニケーション基盤
  • 【経理シスエム】制度会計の処理を担う基盤
  • 【ワークフロー】物品購入や出張申請など各種ワークフローを処理
  • 【勤怠システム】従業員の勤怠情報を管理

これらのシステムの面倒を見るのに加え、これから必要となるシステムの企画なども含めて幅広い業務を担っているのは、実質的に2人のスタッフだ。同社情報システム課の茅根博哉氏と小島伊貴氏である(写真1)。


写真1:ダーツライブ 情報システム課の茅根博哉氏(右)と小島伊貴氏(左)

「ゲームのサービス基盤は、一度リリースさえしてしまえば比較的仕様変更も少なくてさほど手がかかりません。それに対して、意外と手がかかるのが社内系のシステム。まだ若い会社だけに、社内体制や必要な機能が頻繁に変わり、それに対応しなければならないのです」と茅根氏は話す。

限られたマンパワーで効率的に対処する上で基本となるのは、複数のシステム間の連携性を高めて“サイロ化”を極力避けることにある。同社において、その役割を果たしているのがインフォテリアのEAIツール「ASTERIA WARP」だ。

導入のルーツをたどると、2008年までさかのぼる。ゲームサーバーに集約する各マシンの稼働データを、CRMや経理のシステムに自動的に受け渡すことが目的だった。まだ2人が情報システム課に在籍していなかった頃、前任者の下のプロジェクトでASTERIAが採用された経緯がある。

ゲームサーバーには、会員カード(16桁の会員ID)と紐付く会員情報や、遊技回数、各回のスコアなど多様な情報が集約される。その中から、例えばマシンごとの稼働情報だけをCRMシステムに移行すれば、地域別/担当者別/機種別などの視点で細かい分析を加えることができる。より市場密着型の営業施策を打つための判断材料になるわけだ。CRMシステムは「Salesforce CRM」で、ASTERIAのSelasforce向けアダプタによって連携が具現化されている。

同様に、ゲームサーバーに集約する情報の中で経理に回さなければならないデータについては、ASTERIA WARPを使って対象データを抜き出し、受け渡し処理を自動化している。「自分たちでASTERIA WARPのフローを組み上げる場合も、慣れてしまえば生産性はかなり上がりますね。社内スタッフの依頼を受けて、ゲームサーバーから様々なデータを抽出するようなシーンもありますが、とても重宝しています」(茅根氏)。

複数システムのアカウント情報を同期させる

業務データの連携基盤としてASTERIA WARPを採用し、その使いこなしのノウハウを蓄える中で、同社は別の用途にも新たな価値を見出し始めた。それは、社内に散在する各種システムの「アカウント情報」を同期させる仕組みとして活用するというアイデアだ。

勤怠管理、申請ワークフロー、社内ポータル(コミュニケーション基盤)など、業容拡大も相まって、同社は様々な目的のシステムを整えてきた。当然、それぞれにユーザーアカウントが必要となる。ユーザーの新規追加や属性の変更が頻発しなければ、特段の問題もなかったはずなのだが、やがて、そのメンテナンスの負荷が重くのし掛かるようになってきた。

新商品/サービスの市場投入を加速する上で、組織改編を日常茶飯事的に行うことは伸び盛りの企業にはありがちなことだ。ダーツライブにしても例外ではなく、ビジネス展開のために随時プロジェクトを立ち上げて臨むのが常態化し、それに伴って、個々人の所属組織なり職制なりが頻繁に変更される事態に直面するようになった。

「ともすると、一挙に70人くらいの異動があるんです。それを逐一、手作業で各システムに反映する作業を思い浮かべて下さい。非生産的な作業を深夜まで続けるとなると、モチベーションは上がらないしミスも誘発しがちです。大切な日常業務に支障を来すわけにいかないので頑張るんですが、疲弊は否めません。何とか脱却できないかと次善策を考える日々でした」と小島氏は振り返る。

そこで湧き出たアイデアが、ASTERIA WARPを駆使したアカウント同期という方策だ。ユーザー名、職制、所属組織などを管理する、いわば「アカウントマスター」を用意。ここで管理する情報を唯一の台帳とし、何らかの変更があった際には、各システムに自動的に反映させることで業務効率を高めようというわけである。


図1:ASTERIA WARPを使ったデータ連携の概要

具体的なアクションを起こすにあたり、同社は「組織ツール」と呼ぶシステムを新規構築することとした。「要求仕様を固めた後に社外のソフトハウスに外注したんですが、その会社に技術力があって、ユーザーインタフェースに優れた満足いくシステムが出来上がりました」と小島氏。

今なおブラッシュアップを続けているという組織ツールは、AWS(Amazon Web Services)のIaaS上で稼働させている。現状の組織構造がツリー構造で表現されており、ある従業員の所属部署が変更になった場合にはマウスのドラッグ&ドロップ操作で当該組織へと移動させる。頻繁に発令される人事異動の際も、直感的な操作で簡単に対処できるようになったという。

組織改編や人事異動に伴っては、基本的には組織ツールのみに変更を加える。後は、先に触れた通りASTERIA WARPを使って各システムに配信し、アカウント情報を自動的に更新するわけだ。「連携フローは自分たちで定義しましたが、それほど難しい作業ではありませんでした。こちらもデザイナーツールを使って直感的に作業を進めらましたね」(茅根氏)。

アカウント同期の仕組みを整えた結果、これまでは毎月うんざりしていた作業負荷が圧倒的に減った。「感覚的に言えば、組織改編に対処するための時間は3分の1以下になったでしょうか。さらに今後はシングルサインオンにすることなども視野に入れ、ユーザーにとっての使いやすさも追求していかなければなりません」と小島氏は話す。

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