[インタビュー]

「成長市場にクラウド経由でリーチせよ」米CAのAPJ地域担当プレジデント

2013年12月2日(月)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

「破壊的な技術の進化をチャンスに変える:Go big. IT with impact」――。こう題したプライベートイベント「CA Expo ‘13 Japan」を米CA Technologiesの日本法人が2013年11月29日、東京港区で開催した。ITインフラマネジメントやセキュリティなどを強みにする同社が訴える「デジタル革命への対応」とは何か。CAはどこを目指すのか。来日したアジア・パシフィック&ジャパン(APJ)地域担当プレジデントのライオネル・リム(Lionel Lim)氏に聞いた。(聞き手は志度 昌宏=IT Leaders編集部)

米CA Technologiesアジア・パシフィック&ジャパン(APJ)地域担当プレジデントのライオネル・リム(Lionel Lim)氏
米CA Technologies
アジア・パシフィック&ジャパン(APJ)
地域担当プレジデントの
ライオネル・リム(Lionel Lim)氏

――少子高齢化が進む日本では、市場は縮小傾向にあるし、ものづくりを含め多くの企業が方向感を見失っているようにみえる。

 確かに90年代以降、経済環境の悪化を受けて、日本企業は内向き傾向にあったかもしれない。だが海外から見れば、日本企業が持つテクノロジーやものづくりのノウハウは今もトップレベルにある。高品質な製品/サービスを国内市場だけでなく、グローバルに展開するには今こそが、まさに最適なタイミングだといえる。

 なぜ今が最適なのか。まず日本が隣接するアジア太平洋地域(APAC)は成長市場である。世界の半分以上の人が住み、GDP(Gross Domestic Product:国内総生産)の52%を生み出している。海外貿易の取扱高でも、その半分はAPACおよび日本という地域内での取引だ。またアベノミクスが狙うような富裕層も増えており、2020年までには収入が米国の3倍にまで伸びるとされている。

 こうした成長市場を狙うにしても、従来のように現地オフィスを開設するとった手順を踏む必要性はなくなっている。APACなどで増えている顧客層は、デジタルを使いなれた若者層であり、クラウド経由で接触できる個客層である。こうした顧客接点を生かしビジネスを成長させることが「デジタル革命」なのだ。

――デジタル革命とは、具体的には何を指すのか。

 1つはデジタル情報の爆発的な増加、いわゆるビッグデータだ。今、こうして会話している間にも、様々なデジタル情報が生まれている。例えば、60秒間に送られるメールは200万通を超え、Facebookへの投稿は51万件、IPデータの送信料は70万ギガバイト弱に上る。

 これらのデータは、一般消費者すなわち個客の声であり、従業員の声である。これだけ多種多様なデータ、すなわち“顧客の声(VoC:Voice of Customer)”を聞ける時代は、かつてない。

 2番目はモビリティの浸透だ。今の社会において最も価値のあるものは、都心の立派な高層ビルなどではなく、スマートフォンに代表されるデバイスだ。4インチ程度の画面しか持たない、これらデバイスはネットワークを介してデータセンターとつながることで様々な価値を生み出している。

大波を乗りこなすためのポジション取りが重要

 そしてIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の到来だ。20220年までに2000億もの“モノ”がインターネットにつながっていく。これは現在のモバイル端末数の100倍に相当する。情報量がこれだけ大きく変われば、ビジネスのやり方も異なってくる。これがデジタル革命だ。

米ライオネル・リム(Lionel Lim)氏
ライオネル・リム(Lionel Lim)氏

 デジタル革命は、津波と呼べるほどのビッグウェーブ(大波)である。正しいポジションを取れれば、大波に乗ってさらなる成長を呼び込める。だが、逆側にいては、その大波に飲み込まれてしまうだろう。

――「CA Expo ‘13 Japan」でもメインフレームのセッションが少なくないように、CAはITインフラマネジメントを強みにしてきた。メインフレームとモバイルは両極端な存在だ。

 確かに、CAはメインフレームやUNIXといったインフラマネジメントを手がけてきたが、その範囲は既に仮想マシン(VM:Virtual Machine)、クラウドへと広がっている。このメインフレームからクラウドまでを一元管理できることが、デジタル革命にあっても重要な意味を持ってくる。

 モビリティやIoTは、個客の声を聞く手段だと説明した。スマートフォンなどの先にいる個客との接点を維持することで売り上げや利益の拡大を図る。そこでは、企業が持つデジタル資産をフル活用する必要がある。

インターネット決済の70%がメインフレームと接続

 具体的には、モバイル端末の利用者などにサービスを提供するためのアプリケーションの投入を加速しなければならないし、利用者がどのサービスをどう利用しているのかを把握しなければならない。こうしたサービスは各種サーバーやネットワークの組み合わせで生成されるだけに、プラットフォームを問わないマネジメント機能が必要になる。そして当然ながら、これらはセキュアな環境を求める。

 メインフレームと、そこで動作しているアプリケーション資産も今後は、クラウドを介してモビリティやIoTとつながっていく。実際、インターネット決済では、全トランザクションの70%がメインフレームにまでつながっている。モバイルファーストの時代であっても、メインフレームまでを過不足などマネジメントできることがCAの強みであり、差異化点にもなる。

――CAは最近「DevOps(開発と運用の連携)」にも注力しているが、これもデジタル革命に対応するためか。

 もちろんだ。当社は2年前からDevOpsに注力している。顧客接点を維持するためにはアプリケーションの開発とデプロイの高速化が不可欠だからだ。

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