製造業向けERPパッケージ「IFS Applications」を提供するIFSジャパンは2014年2月21日、オペレーショナルBI機能を追加する「マニュファクチャリング・ビジュアライザー」を発表した。
データや情報を視覚的に把握しやすい形式で表示する、いわゆる「ビジュアライズ」。BIなどのデータ分析やプロセス設計に限らず、情報システムの領域全般で大切なテーマだ。文章や数字の羅列は、全体を俯瞰的に捉えるには不向きだし、まして何らかの意思決定をしようとすると時間がかかってしまう。それは、経営や事業計画の策定など非定型業務だけではなく、日常の定型業務でも同じだろう。
こんな考えのもと、製造業向けのERPパッケージを販売するIFSジャパンは、「マニュファクチャリング・ビジュアライザー(MV)」と呼ぶ新機能を発表した。例えば生産に用いる資材や機械、人材に関して過不足をビジュアルに表示し、資材の移動や調達を現場サイドで手配できる。不鮮明な図で申し訳ないが、それでも状況の把握しやすさは一目瞭然だ(下図)。主力製品であるIFS Applications 8の追加機能として2014年第2四半期から出荷を開始する。
とはいえ、IFS Applications 8には「Enterprise Explorer」と呼ぶWebベースのGUIが備わっており、 MS Office(Excel)と連携したグラフ表示が可能だ。あるいはSQL ServerをDWHとして用い、市販のBIツールでデータをグラフィカルに表示し、分析する機能もオプションとして提供されている。これらとMVは一体、何が違うのか?
この疑問に対し、IFS本社の製品ディレクタであるピーター・コーネリアス氏はこう話す。「既存のBIは複数のシステムのデータを分析する用途に使われます。現場における日々の業務とは異なるシーンで、大きな戦略を立案するのが主な用途といってもいいでしょう。一方で今日では、製造の現場でタブレットやスマートフォンのようなモバイル機器を使いながら今起きていることを即座に把握し、必要なアクションを採りたいというニーズが広がっています。それに対応するのがMVであり、オンラインでリアルタイムに、かつ面倒な操作が一切不要なプリパッケージドされた機能により、製造現場で起きていることを視覚化するのです」。
最近の言葉で言えば、「オペレーショナルBI」の一種といえるだろう。実際、製造の現場では製造オーダーに対する資材の状況(過不足)、時系列の製造オーダー進捗状況、個々の機械の負荷状況などをモニタリングし、迅速に対応する必要がある。これに対しMVはDWHを介さずにIFS Applications 8の生データを適切なグラフの形で表示する。上記の言葉から明らかなように、Android端末やiOS端末をはじめとするモバイル機器にも対応している。
なおIFS Applications 8は、生産管理、サービス・マネジメント、プロジェクト管理などを要素とするサプライチェーン管理に特化した製造業向けのERP。全世界のユーザー企業数は2100社なので、SAPやOracleの大手とは比べるべくもないが、「リーマンショック時期も含めて増収増益を維持している」(日本法人のステファン・グスタフソン社長)という。日本ではソリューションパートナーでもあるNECのほか、岡村製作所(現 オカムラ)、東海ゴム工業(現 住友理工)、日本製鋼所、ナナオ(現 EIZO)、アデランスなどが主要ユーザーである。