一般消費者向け(B2C)でまず普及し、次に企業向け(B2B)に普及する、いわゆるコンシューマライゼーション。オンラインによる動画配信は、そのコンシューマリゼーションの有力候補の1つである。
B2C向けの動画配信は今、どうなっているのか。放送局や通信・ネット事業者などにビデオ配信プラットフォームをSaaSとして提供するOoyala(ウーヤラ、米カリフォルニア州)が、2013年10~12月における世界のオンライン・ビデオ配信状況や視聴傾向をまとめた。詳細はそちらに譲るとして、ざっとサマリーを紹介しよう。
●視聴時間
全動画視聴時間に占めるタブレットやスマートフォンによる視聴時間は17%になった。小さな割合に思えるが、2011年の同時期に比べ719%増、2012年の同時期に比べても160%の増加であり、モバイルデバイスは動画を扱う事業者にとってサポートが欠かせない配信端末になっている(図1)。
●動画再生時間
1時間以上の動画を見る割合は、インターネットTVの利用者の場合39%、スマートフォンでも31%に達する。ただしタブレットの利用者は19%に留まる。スマートフォンで長時間の動画を見る割合が高いのは、屋外でライブのスポーツ中継やハイライトを見るため。ただし ライブスポーツ動画に対する視聴者1人あたりの平均視聴時間は20分に留まる。
●オンライン動画の展望
有料TVサービス事業者のうちタブレット端末をサポートしている業者は2013年で47%。2015年までに89%に増える(Infonetics調べ)。ユーザー1人あたりのモバイルデバイスを使用した動画視聴時間は、2013年には1カ月に12.7時間だった。2019年までには21時間を超えると予測する(ABI Research調べ)。これらを総合するとモバイルデバイスによるオンライン動画の視聴時間は2015年末までに全視聴時間の37%になり、2016年末には50%に達すると予想される。
つまりSNSなどのテキスト系のメッセージ共有だけでなく、動画という重いコンテンツについても、今後はモバイルデバイスが主役になるという予測である。画面の小ささやバッテリ、そして通信料金といった点を考えると、疑問もあるが、サッカーやフットボール、野球、オリンピックなどのスポーツ中継を生で見たいというニーズに応えるにはモバイルが適切であることも間違いない(図2)。調査結果をまとめたOoyalaのCEO、Jay Fulcher(ジェイ・ファルチャー)氏は「スポーツコンテンツは、デジタル配信におけるリーディング・イノベーターです」という。
なお同社は元Googleエンジニア3名が2007年に創業したビデオ配信プラットフォームの専門企業。日本でも2010年にオフィスを開設し、数十社の採用実績がある。