米ティブコソフトウェアの日本法人は2014年5月22日、データ分析用ソフトウェア「TIBCO Spotfire」の最新版となる「同Spotfire 6.0」を発売した。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)に代表されるセンサーデータなどの分析に対応したのが最大の特徴。加えて、モバイル環境への重要情報の配信や地図データを組み合わせた分析などを可能にした。また同日から、Spotfire 6.0の機能をオンラインで提供するクラウドサービスも開始した。
Spotfireは、大量データ処理やR言語を使った統計分析といった機能を持つBA(Business Analytics)ソフトウェア。最新版となる6.0では、大きく3つの機能を追加した。(1)IoT(Internet of Things:モノのインターネット)に代表されるセンサーデータなどストリーミングデータの分析、(2)モバイル環境を対象にしたデータ分析結果の配信やエンドユーザーの行動促進、(3)地図データの活用、である。
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ストリーミングデータの分析を可能にするのは、「Spotfire Event Analytics」。いわゆるCEP(Complex Event Processing:複合イベント処理)を実行する仕組みだ。モニタリングしているデータが、あらかじめ設定してある条件から外れれば、分析対象になるストリーミングデータおよび、それと組み合わせるデータなどをSpotfireに取り込み、データ分析を実行する(写真1)。
Event Analyticsが想定する用途は、生産ラインの稼働状況監視、生産性や品質の管理、顧客動向の把握などである。2013年に6月に買収したStreamBase Systemsの製品/技術を取り込んだ。
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モバイル環境でのデータ分析結果の活用を可能にするのは、「Spotfire Consumer」。スマートフォンやタブレットなどを持つ一人ひとりに対し、それぞれの役割に応じたKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)に該当する情報を届ける(写真2)。必要であれば、そこからドリルダウンでデータを分析したり、コラボレーション機能を使って関係者間で情報を共有したり、次の行動を起こすための指示を出したりができる。
Consumerが想定するのは、営業担当者やフィールドエンジニアなど、通常はデータを分析するよりも、それぞれの役割を果たすための最新情報を必要とする事業現場で働くスタッフなどへの情報提供である。誰にどの情報を提供するかは、事前に設定する。2013年9月に買収したExtended Resultの「Push BI」を取り込んでいる。
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地図データの活用は、Spotfire 6.0の標準機能として提供する。クラウドから提供される地図データ上に、マルチレイヤーでデータをプロットしたり、分析結果のグラフを重ねて表示したりができる(写真3)。地域別分析など位置情報が有用な分析を想定する。2013年3月に買収したMaporama Solutionsの製品/技術を取り込んだ。
これら3機能のほか、Webベースでデータのオーサリングや分析を可能にする機能や、R言語を使った予測機能、Hadoopなどビッグデータを持つデータベースからのデータ取り込み機能などの強化を図っている。
Spotfire 6.0から、日本市場でもクラウドサービス「TIBCO Spotfire Cloud」を開始した。AWS(Amazon Web Services)の東京リージョンを利用し、ティブコがシステムを運用管理することでサービスを提供する。
日本ティブコのSpotfire担当カントリーマネージャーである黒塚 明彦氏は、「BI(Business Intelligence)/BAの活用では、まだまだ『導入はしてみたものの、データの見える化で留まっている』というケースが少なくない。一方で、データ分析・意思決定の世界では、BI/BAツールの側にベストプラクティスが存在するわけではない。解決したい課題と、そのために必要なデータの整備、そして、その分析に最適なツールをどう組み合わせるかが重要だ」と指摘する。
この観点から日本ティブコでは今後、産業分野別に、それぞれの業種・業務ノウハウを持つ人材の獲得に力を入れ、「利益率の向上といった課題であれば、Spotfire 6.0をこのように使ってはどうか、といったコンサルティングを強化する」(黒塚氏)考えだ。