コンピューティングのコストは年率33%で下落、ストレージにいたっては38%で下落してきた。こうしたことが爆発的なネットの広がりや様々なイノベーションを支える――。米国の著名なベンチャーキャピタルの1社であるKleiner Perkins Caufield Byers(KPCB)は、「Internet Trends2014」を公開した
コンピューティングのコストは年率33%で下落、ストレージにいたっては38%で下落してきた。こうしたことが爆発的なネットの広がりや様々なイノベーションを支える――。
米国の著名なベンチャーキャピタルの1社であるKleiner Perkins Caufield Byers(KPCB)は、「Internet Trends2014」を公開した。インターネットを中心にクラウドやビッグデータ、モバイルなどの最新動向をまとめており、CIOや情報システム部門責任者がチェックしておくのにふさわしい欲しい資料だ。
合計164枚からなる膨大な資料で目次は図1のとおりだ。スマートデバイスの普及状況、ネット広告の市場、ハイテク企業の株価、教育やヘルスケアに及ぼす影響、中国ネット企業の勢い、ビッグデータやクラウドの動きなど、カバー範囲は極めて広い。
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例えば、資料25枚目では教育に関して「4年生大学の卒業生の71%は平均3万ドルの学生ローンを抱える」「4年生大学の卒業生の3分の1は、受けた教育は就職に不十分と感じている」などの現状を指摘。MOOCをはじめとするオンライン教育が問題改善に役立つことを示している。
以下、いくつかデータを拾ってみよう。B2CのECでは、600万人の登録を持つ宿泊先紹介のAirbnbや2億3100万の顧客を持つAribaba、3900万の顧客を持つgrubHubを紹介。その上でInstacartやAmazon Freshなど生鮮品のオンライン販売に言及し、「次の焦点は、注文日にデリバリすること」と指摘している(図2)。
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1990年から2013年、コンピュートコストは年率33%で下落
マネーの分野では、日本でも今年前半に話題を呼んだBitcoinの普及が今も急ピッチであることを示した(図3)。ちなみにBlockchainはBitcoinの取引所であり、Bitcoinを扱うためのオンライン財布のこと。MultiBit、Coinbaseなども同じである。
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こうしたネット上のサービスや取引の増加を支えるのが、コンピュート(計算)やストレージに要するコストの継続的かつ急速な下落だ(図4、5)。1990年から2013年にかけて前者は年率33%、後者は年率38%のペースで下がってきた。ただコンピュートは縦軸が「100万トランジスタ当たりの金額」とあり、何をどうプロットしてこのグラフができたのか分かりにくいが、雰囲気はつかめるだろう。
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「New User Interfaces」と題して取り上げたのが、イエローページを置き換えるYelpや、既出のAirbnb、タクシー呼び出しのUber、クラウドソーシングで渋滞を回避するWaze、ミュージックサイトのSatellite RadioやSpotify、テレビのリモコンを置き換えるAmazon Fire TVなどである(図6)。KPCBは、これらに代表される身の回りのちょっとした不便さを解消するサービスが今後も増え、成長すると見ているようだ。
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