CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は今や、企業情報システムの定番ともいえるアプリケーションの1つである。そのため「安価で使い勝手がいいツールやサービスを選んでおけば安心。逆に言えば、精査しなくても大差がない類のものだ」と考える向きもある。だが、こんな考え方が覆る時が来るかも知れない。米Salesforce.comが2014年7月に買収した米国ベンチャー企業、RelateIQが持つテクノロジーのインパクトが大きそうだからだ。
米Salesforce.comは2006年以降、合計で30社にも及ぶ企業を買収している。2013年には25億ドルの巨費を投じてExactTargetを買収した。そんな同社にすれば、3億9000万ドルで買収したRelateIQは、小さな買い物にもみえる。実際、RelateIQは設立が2011年、社員数は100人に満たない小さな会社だ。
そのRelateIQに日本円で400億円を投じるからには相当の理由がある。RelateIQのSteve Loughlin共同創業者兼CEOは、買収時のブログで「データサイエンスと機械学習技術により、セールスやサービス、マーケティングといったCRMを、これまでとは異なるレベルで知的にする」と説明する。
日本でも多くの企業が利用するSalesforceのCRMは、顧客情報やコンタクト履歴、案件を管理したり、マーケティング施策のための情報を記録・共有・実行したりするためのツールである。利用者がきちんと情報を入力し、そこから出力されるグラフや表に基づき、あるいは上司のアドバイスに基づいて、次なるアクションを取るのが基本だ。
これに対しRelateIQは、社名から推察できるように、データサイエンスや機械学習により、情報入力からアドバイスまでのプロセスの自動化を図る。具体的には、電子メールや会話、SNSやカレンダーの情報を認識し、それらのやり取りを分析することで、連絡をとるべき顧客、逆に放置してもいい顧客などをアドバイスする。
すなわち、情報の入力/メンテナンスといった退屈な時間を減らし、ホットな顧客へのアクセスに集中できるようにするのがウリだ。Salesforce CRMを「CRM1.0」とすれば、RelateIQは「CRM2.0」だといえる。
買収金額の多寡はさておき、RelateIQは強力な競合相手になり得るだけに、それを未然に防ぐ意味でも、買収は必然だった。Loughlin CEOは「今回の買収は、Salesforce CRMの価値を拡大する。RelateIQにとっては、ここからが始まりだ」と上記のブログで語っている。
それはともかく、CRMという定番アプリがデータサイエンスと機械学習によってどれほど使いやすく、高度になるのか?またSalesforceは、どんな形でサービスに実装してくるのか?ユーザーにとっては楽しみだし、Salesforceの競合ベンダーにとっては製品やサービスを進化させる必要があるといえそうだ。
Salesforce / M&A / マシンラーニング
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