飲食店の食事券などをインターネットで扱うフードテック事業を営むGigi(本社:東京都港区)は、コールセンターでの顧客対応にAIエージェント「Agentforce」を導入した。電話やメールの初動対応をAIエージェントに置き換えることで、コンタクトセンター業務の大部分を削減するとともに、24時間365日対応できるようにした。Agentforceを提供したセールスフォース・ジャパンが2025年5月30日に発表した。
Gigiは、飲食店の食事券などをインターネットで扱うフードテック事業を営んでいる。具体的には、個人間のギフトとして利用できる「ごちめし」、企業が社員に食事をプレゼントできる「びずめし」、子ども食堂を支援する「こどもごちめし」、食券の事前購入で飲食店を応援する「さきめし」、などのサービスを運営している。
こうした中、認知度の拡大に合わせて問い合わせ件数も増えた。外部のコンタクトセンターに依存した体制の下、スタッフの負担増加やコスト上昇といった課題が顕在化していた。問い合わせ内容の多くが同様の質問だったほか、「夜間にサービスを利用したくて問い合わせをしても電話がつながらない」という声が多かったことから、AIエージェントが有効と考えた。
こうして、顧客対応を代行するAIエージェント「Agentforce」(セールスフォース・ジャパンが提供)を導入した。データ活用基盤としてSalesforceのData Cloudも導入し、AIエージェントが顧客の購入履歴などを理解したうえで質問に回答できるようにした。
電話やメールの初動対応をAIエージェントに置き換えた。稼働量は、7人月から2人月へと減った。今後さらに業務量が増えても2人月で対応できる目算が立ったとしている。また、AIエージェントにより、24時間365日の顧客対応が実現した。
問い合わせ対応のスピードも上がった。例えば、サービスを利用するための領収書メールを紛失してしまった利用者に対して、AIエージェントがData Cloudと連携してメールアドレスを検索し、即時に再発行を案内する。「明日まで待てない」という切迫した問い合わせにも迅速に対応する。
運用の負担も減った。従来の生成AIチャットボットでは、AIの回答精度を高めるためにフロー設計や緻密なチューニングが必要だった。一方、Agentforceは、FAQ(よくある質問と回答)のナレッジを整えるだけで、自然言語による応対が可能である。プロンプト設計やルールの整備に人的リソースを割かずに済むようになった。
今後は、多言語で使えるようにする。また、マーケティングや営業領域でもAIを活用し、資料送付や日程調整といった定型業務の自動化を進める。