企業活動において、今後の原動力の1つになると期待されるPaaS(Platform as a Service)。日本市場においても、大手ITベンダー各社がPaaSあるいはPaaSを実現するための製品の投入に本腰を入れ始めた。各社はPaaSをどう位置付け、どのように日本で展開しようとしているのか。また利用する側はPaaSにどう対峙すべきなのか。日本オラクル、レッドハット、ピボタルジャパン、日本マイクロソフト(登場順)の各担当者が、それぞれの方針や利用拡大のための課題を語り合った。第2回は、利用企業にとってのPaaSの位置付けがテーマである。進行は川上潤司=IT Leaders編集長が務めた。(文中敬称略)
IT Leaders編集長、川上潤司(以下、ITL・川上) 第1回では、各社のPaaS戦略をうかがってきました。実は今日の座談会を迎えるに当たり、いわゆるユーザー企業のIT部門長といった方々数人に、PaaSのイメージを聞いてみたのです。彼らの考えとすれば、キーワード的には、DevOps(開発と運用の融合)に近いかと思いますが、それを実現するための仕組みとしてPaaSがあるのではないかという認識の人が多かった。
つまり、他社との差異化を図るためのアプリケーションをどんどん開発したいけれど、昔のようにガリガリとは開発できない。クラウド上の部品やごくごく簡単な開発フレームワークなどを使って、アプリケーションを作っては市場の反応なりパフォーマンスなりを見ながら、とにかくチューニングしていきたいというわけです。
存在価値を高めたいIT部門がPaaSに触手?
IT部門としては今後、アプリケーション開発に注力し、そこをIT部門の存在価値にしたい。ここに、PaaSが注目され始めた理由があるのではないかと思いますが、こうした認識は、みなさんどうなのでしょうか。
レッドハット、岡下浩明氏(以下、レッドハット・岡下) その通りだと思います。私がPaaSの話をする先には2つのレイヤーがあります。1つはPaaSを使う人のレイヤー、もう1つはPaaSという環境を提供したいという事業者、すなわち当社のパートナー企業さんのレイヤーです。
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