企業活動において、今後の原動力の1つになると期待されるPaaS(Platform as a Service)。日本市場においても、大手ITベンダー各社がPaaSあるいはPaaSを実現するための製品の投入に本腰を入れ始めた。各社はPaaSをどう位置付け、どのように日本で展開しようとしているのか。また利用する側はPaaSにどう対峙すべきなのか。日本オラクル、レッドハット、ピボタルジャパン、日本マイクロソフト(登場順)の各担当者が、それぞれの方針や利用拡大のための課題を語り合った。第3回は、PaaSを活用するためには利用企業はどうあるべきかがテーマである。進行は川上潤司=IT Leaders編集長が務めた。(文中敬称略)
IT Leaders編集長、川上潤司(以下、ITL・川上) 第1回で各社のPaaS戦略を、第2回では利用企業にとってのPaaS像について、みなさんのご意見をうかがってきました。今回は、PaaSを利用する側が、どう取り組むべきかを考えていきましょう。やはり、利用者側にも変わらなければならない側面があると思うからです。
例えば一般的には日本企業では、インフラ部隊とアプリケーションの企画部隊がはっきり分かれていて、コミュニケーションも十分ではないといったことがあります。そのアプリケーションにしても、上流工程はやるけれど、実際に作るのは外部というケースが多いですよね。PaaSを活用するためには、どういった点を見直す必要があるでしょうか。
日本オラクル、佐藤裕之氏(以下、オラクル・佐藤) ITのコストの配分は、日本では多分8:2ぐらいの割合で、8割が外注、2割が社内だと思うのですが、北米では逆に2:8ぐらいになっている。社内でアジャイルに開発しサービスを提供するパターンが主流だということです。
これを前提に、これから日本でPaaSを活用しようとすればやはり、SI事業者の方々が、どれだけアジャイルな開発スタイルの中でビジネスを構築できるかどうかが大きいと思います。既存の仕組みでは、開発期間が短いアジャイル開発はビジネス的なメリットが見えなくなってしまう。こうしたコスト構造の問題を解決していかなければならないでしょう。
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