もはや、企業はクラウドを抜きにしてIT戦略を考えられなくなった。柔軟なリソースの調達、投資リスクの抑制など、オンプレミスにはない価値をもたらす。ただ、クラウドにはクラウドの課題があることも事実だ。クラウド先進企業ではそうした課題に直面しはじめている。
企業の情報システムの中にクラウドが浸透し始めている。従来、主流を占めていたIaaSはもちろん、最近はOffice 365やGoogle Apps、Salesforce.comといったSaaSの導入も珍しくなくなった。
一方で、先進企業は、新しい課題にも直面しはじめている。コントロールの喪失である。オンプレミスでは、管理者がさまざまなパラメータをコントロールできた。例えば、ネットワーク遅延に対するSLAの確約、ネットワークパスのコントロール、帯域幅の確保、QoS(Quality of Service)といったものだ。
しかし、クラウドではこうした要素を緻密に制御するのは難しい。パブリッククラウドの内部は基本的にブラックボックスである。パフォーマンス劣化などの問題が発生しても、原因を切り分けるのは容易ではない。既存のパフォーマンス管理製品もオンプレミスが前提。クラウド環境では効果を発揮しない。
クラウドサービスのパフォーマンスを可視化、最適化する
こうした状況の変化への適応策を提案するのがリバーベッドテクノロジーである。新たなシステム環境を前提に「可視化」と「最適化」のためのソリューションを提供。先進企業の支持を集めている。
リバーベッドの可視化&最適化ソリューションは、主に3つの製品で構成する。(1)WANの最適化とネットワーク情報を収集する「SteelHead」、(2)SteelHeadが収集したデータを収集、グラフィカルに表示する管理ツール「SteelCentral」、(3)開発・管理者向けツール「SteelScript」である。これらのツールを組み合わせることで、企業は以下の4つの機能を利用できる。
アプリケーションの性質に応じた通信経路制御
1100以上のシグネチャーによってアプリケーションを識別。あらかじめ指定したグループ分けに従って、通信経路を自動的に制御する。例えば、音声通話は帯域を広くとって、会話に支障をきたさないようにする。ビデオストリーミングは、多少画像が荒くなっても構わないといった具合だ。
例えば、同じHTTPで利用しているアプリケーションでも、Office 365やSalesforceはMPLS経由でアクセスさせ、FaceBookやYouTubeはインターネット経由でアクセスさせるといった制御ができる。
通信のセキュリティ確保
AES256ビット暗号化によってSteel製品間のすべてのトラフィックのセキュリティを確保する。拠点と拠点の間でも、拠点とクラウドサービスの間でも、通信の安全性を保つことができる。
パフォーマンスの可視化
SteelHeadが生成するフローデータを集約し、必要に応じてパケットキャプチャからの情報と組み合わせて解析する仕組み。可視化とレポーティングの仕組みを備え、Webアプリケーションについて『どのページが遅いのか?』『いつから遅くなったのか?』『誰の通信が遅いのか?』といった疑問を解消できる。
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