もはや、企業はクラウドを抜きにしてIT戦略を考えられなくなった。柔軟なリソースの調達、投資リスクの抑制など、オンプレミスにはない価値をもたらす。ただ、クラウドにはクラウドの課題があることも事実だ。クラウド先進企業ではそうした課題に直面しはじめている。
ハイブリッドネットワークを簡素化する先進テクノロジー
ところで、冒頭に述べたとおり、クラウドは基本的にブラックボックスである。リバーベッドはSaaSを含めたハイブリッドネットワークにおいて、いかに高いパフォーマンスを生み出すテクノロジーを提供しているのだろうか。疑問を解く鍵は、インターネット上の仮想アプライアンスをいかに設置するのかにある。
このソリューションは、Office 365やSalesforce.comなどクラウドサービスをホスティングするデータセンターのそばにあるエッジサーバーを利用している。エッジサーバの配置場所は、各クラウドサービスの拠点からネットワーク遅延が2~3ミリ秒以下の場所にある。つまり、ほぼクラウドサービスのデータセンター内にサーバーが置いてあると考えてよい。
具体的には、エッジサーバー上にWAN高速化・最適化装置「SteelHead」のバーチャルアプライアンスを組み込み、このバーチャルアプライアンスと、企業内に設置したSteelHeadが対向通信できるようにした。つまり、本社と拠点の通信を高速化するのと同様に、企業とクラウドサービスの間の通信を高速化・最適化できる。
このリバーベッドのSaaSモデルである「SteelHead SaaS」を採用すれば、ユーザ企業は、こうしたインターネット上の仕組みを特に意識することなく、クラウドへの快適なアクセスとパフォーマンスを確保できる。
さらに、企業は、SteelHead SaaSによって、エッジサーバー上のバーチャルアプライアンスからフロー情報も収集できる。あたかもオンプレミスのアプリケーションと同様にクラウドサービスのパフォーマンスをモニタリングできるわけだ。
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グローバル企業で実績を上げるSteelHead
リバーベッドのソリューションは、すでに多くのグローバル企業に導入され、確実な成果を上げている。
例えば、グローバル500にランクされるエネルギー企業のA社。世界各地に展開する拠点に500台を超えるSteelHeadバーチャルアプライアンスを配備した。LDAPやSMTP、CIFS、Lotus Notesなどの通信を可視化、最適化した。同社のCIOは、リバーベッドのソリューションを使用しない場合は、3倍以上のネットワーク帯域が必要になると試算している。コスト負担の軽減効果は大きいと言えよう。
国内機械メーカーB社は、情報共有基盤をオンプレミスからOffice 365に移行。この際、パフォーマンス劣化の課題を解決し、ユーザーエクスペリエンスを高める手段を探していた時にリバーベッドと出会った。テストデータを使って製品の導入効果を検証したところ、導入前と比べてファイルのアップロードが48倍、ダウンロードで52倍高速化した。これが導入の決め手になったとB社のIT責任者は語る。
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リバーベッドテクノロジーでリージョナルセールスマネージャーを務める伊藤信氏は「リバーベッドは圧倒的な市場シェアを誇るWAN高速化製品の技術をベースに距離と場所がもたらす制約を解消する。クラウドがもたらす複雑性の問題をシンプルに解決していく」と意気込みを語る。