[市場動向]

2015年以降も拡大を続ける国内セキュリティ製品市場─IDC予測

2015年1月5日(月)IT Leaders編集部

IT市場調査会社のIDC Japanは2015年1月5日、ソフトウェアとアプライアンス製品を含めた国内情報セキュリティ製品市場の2014年~2018年の予測を発表した。発表によると、2014年の国内情報セキュリティ製品市場は前年比4.7%増の2582億円で、2013年~2018年における年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.0%、2018年には3004億円に拡大すると予測している。

 国内情報セキュリティ製品市場のうち、2014年の国内セキュリティソフトウェア市場規模についてIDC Japanは、アイデンティティ/アクセス管理とエンドポイントセキュリティ、ネットワークセキュリティ、セキュリティ/脆弱性管理の各分野で需要が高まり、前年比4.1%増の2,140億円に達すると推定している。

 IDCによると、2015年以降は、クラウドサービスやモバイル端末の利用拡大、巧妙化する標的型サイバー攻撃の増加と、サイバーセキュリティ基本法施行によるサイバーセキュリティ対策への本格的な取り組みが進み、アイデンティティ/アクセス管理とエンドポイントセキュリティ、セキュリティ/脆弱性管理への需要が拡大するという。国内セキュリティソフトウェア市場の2013年~2018年におけるCAGRは3.9%で、市場規模は2013年の2056億円から、2018年には2485億円にまで拡大すると予測している。

 次に、SaaS型セキュリティソフトウェア市場については、標的型サイバー攻撃に対する先進的なマルウェア対策や運用管理負荷の軽減、事業継続を目的としたニーズが高く、アイデンティティ/アクセス管理とエンドポイントセキュリティ、Webセキュリティで需要が高まり、2014年の市場規模が前年比12.5%増の121億円に達すると見積もられている。

 2014年の国内セキュリティアプライアンス市場規模についてIDCは、IDS/IPS(Intrusion Detection System/Intrusion Prevention System)、UTM(Unified Threat Management)分野で需要が高く、前年比7.5%増の442億円と推定している。2015年以降も、標的型サイバー攻撃への対策需要は継続して高く、多層防御を備えたUTM製品やIDS/IPS製品が市場を牽引すると同社は見ている。「加えて、電子メールやWeb経由による未知の脆弱性を狙ったゼロデイ攻撃も増えているため、サンドボックスエミュレーション技術などを使った非シグネチャ型マルウェア対策アプライアンス製品への需要も高まると予測される」(同社)。この市場の2013年~2018年におけるCAGRは4.8%で、市場規模は2013年の412億円から2018年には520億円に拡大するとのことだ。

 IDCは、クラウドやモビリティ、ビッグデータ、ソーシャル技術の活用にあたって前提となるセキュリティ施策の重要性についても言及している。「モバイルデバイスについては、各デバイス上で扱う機密データを確実に保護するコンテナ化技術や仮想化技術といったモバイルデバイスに最適化されたセキュリティ対策を実施することが必要である。また、クラウドサービスでは、クラウド環境に最適化されたマルウェア対策やデータ保護対策を実施することが欠かせない」(同社)

 IDC Japan ソフトウェア&セキュリティリサーチマネージャーの登坂恒夫氏は次のようにコメントしている。「ユーザー企業は、“第3のプラットフォーム”(IDCが提唱するモバイル、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドの4要素で構成される新世代コンピューティング)に最適化されたセキュリティ対策を積極的に導入すべきである。これによって、第3のプラットフォームでのセキュリティ脅威リスクを低減し、より安心で安全な環境下で新しいテクノロジーを十分に活用することで、企業競争力を高めることができる」

 今回の発表は、IDC Japanが発行したレポート「国内情報セキュリティ製品市場2014年~2018年の予測アップデート」(J15240101)にその詳細が報告されている。

2013年~2018年国内情報セキュリティ製品市場 セグメント別売上額予測(出典:IDC Japan, 2015年1月 ※2013年は実績値、2014年以降は予測)
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