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[調査・レポート]

CIOの重点施策は日本・世界全体ともにクラウド、ERP、BI―ガートナー世界CIO調査より

2015年1月22日(木)河原 潤(IT Leaders編集部)

IT市場調査会社ガートナー ジャパンは2015年1月21日、世界のCIO 2,810人への調査の最新版「The 2015 CIO Servey」の結果を発表した。調査には84カ国2810人のCIOおよびITリーダーが2015年におけるCIOの課題について回答している。

 ガートナーのCIO Serveyは、同社のグローバルCIO会員組織「ガートナー エグゼクティブ プログラム」に参加する4000人超のメンバーを主な対象に、1999年から毎年実施しているもので、IT予算の動向や重点投資分野、現在抱える課題などについて尋ねている。

 調査に回答した世界2810人のCIOクラスが所属する企業のIT予算総額は3,970億ドル。日本企業については、CIOクラス61人が回答しそのIT予算額は合計で約133億ドルとなっている。ガートナー ジャパンは今回の調査のハイライトとして以下の項目を挙げている。

  • 2015年のIT予算の増減は、世界で前年比プラス1.0%、日本でマイナス0.8%(いずれも加重金額ベースの平均)。日本は回答者数ベースでは「増やす」(36%)が「減らす」(19%)を上回ったが、金額ベースでは依然としてIT投資には慎重である。
  • 「企業全体でデジタライゼーション(以下、デジタル化)を推進する場合の推進役の役割配分」を聞いたところ、日本のCIOの平均は「CIO(つまり自身)」が34%(世界は47%)、「事業部門リーダー」が28%(世界は17%)、「その他の役職」が38%(世界は36%)という配分だった。日本のCIOは、デジタル化への先導を事業部門にも期待していることがわかるが、これは世界に比べてデジタル化への関与に日本のCIOがやや消極的であることの表れとも言える。その原因の1つとして、既存のITシステム業務に忙殺され、デジタル化まで手が回らないというIT組織のジレンマが考えられる。また、デジタル化を現場主導の改善活動の一環として捉える傾向が強いのかもしれない。
  • 日本のCIOが2015年に重点投資を計画するテクノロジーのトップ5は、上から順に「クラウド」「ERP」「BI/アナリティクス」「モバイル」「IT基盤/データセンター」。順位の変動はあるものの、世界のCIOの回答とその構成は同じ。デジタル化に深く関連する「Nexus of Forces(力の結節)」を構成する4大テクノロジー(クラウド、モバイル、インフォメーション、ソーシャル)のうち、3つまでがランクインしている。唯一、ソーシャルについては日本も世界もランキング外だが、これは設問が投資規模も含めた順位を尋ねたものとなっているためで、それに対するCIOの関心は決して低くはない。
  • 日本のCIOは、業務時間の約80%をIT組織や事業部門などの社内向けコミュニケーションに充てており、顧客など社外のステークホルダーとの対話に費やす時間は9%にとどまっているが、この傾向は世界のCIOも同様である。ガートナーでは、CIOが有効な時間管理を実現するため、社内コミュニケーションを含むIT実務の「代行者(“COO”of IT)」の設置を推奨している。調査結果では日本のCIOの74%がすでに代行者を設けており、世界のCIOの回答率である46%を大きく上回っている。これは、日本のローテーション人事という慣行から、CIOの前職が非IT組織であるケースが多く、必然的にITの専門家が別途サポート役を担うことになることが影響している。それでも、日本のCIOが社外コミュニケーションに多くの時間を割けていないのは、IT以外の部門も統括する「兼任CIO」が多いという点に加えて、社外の顧客と対話するパスをそもそも持っていないCIOが大多数である点が原因と考える。

 米ガートナーは同調査のエグゼクティブサマリーを同社のWebサイトで公開している。

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